ちゃおチャオブログ

日々の連続

台湾・高雄の4日間(13)高雄の孔廟「大成殿」。

孔廟「大成殿」の中には、孔子の事績が展示されている。
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孔子の教えは「萬古綱常」。
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礼楽を重んじた人だけあって、色々な種類の楽器が展示されている。
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ああ、日本の琴だ。正式には「箏」と言う。
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ああ、これは木琢、板だ。
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孔子を祀る孔廟。嘗て中国には各地に孔子廟が建立されていたが、毛沢東時代、紅衛兵による「批林批孔」の大嵐に見舞われ、孔子に関係する施設、文物は悉く破壊され、打ち壊されたが、最近になって再び孔子が見直されるようになり、生まれ故郷、魯の国都・曲阜には今では立派な孔廟が再建されている。

台湾では国共内戦に敗れた国民党軍が、ここ台湾に逃れて来て、各主要都市に孔子廟が建設され、自分も嘗て台北、台中の孔子廟を訪問したこともあったし、雲南省から南方のタイに逃れ、国境近くに中国人の町メーサロン(明祭倫)を建設したが、先年、そこの孔子廟を訪問したこともあった。中国人居留地、長崎にも孔子廟があり、中国人の住む所、孔子廟はどこにもある。

この高雄の孔廟は蓮池の畔に建っていて、比較的新しい。40数年前、この蓮池に来た時には、こうした廟はなかったので、市内のどこかから移されたものに違いない。日本人に富士信仰があるのと同じように、中国人にとって孔子は、精神の安定をもたらすものに違いない。

入場料を取らないのは湯島の聖堂や他の孔子廟と同じであるが(曲阜の孔廟では共産主義国にも拘わらず入場料が取られた)、ここがちょっと違うのは入口に記帳台が設けられていて、来客の殆どない台の後ろでは係員が眠そうに座っていた。記帳リストを見ると、ほぼ全てが中国人名で、希に日本人名、横文字の欧米人名が記録されていたが、ハングル文字は全くなかった。世界中を動き回るさしもの韓国人も、この場所まではやってこないようだ。

孔子は礼楽を重んじた人。礼節と舞楽、音楽。大成殿の中にはそれ等の展示物があって、どれも近年作られた複製品のようだ。早い話しイミテーション。学習の場にはよいが、歴史的、文化的な重々しさは感じられない。

琴と箏。今まで「琴」と言うと宮城道夫さんの13弦のあでやかな琴を思い出すが、それは「箏」の事であり、日本語の「琴」は3弦の三味線のようなもの。何かその違いをここへ来て初めて知った。

孔子は礼楽に長けていただけあって、当時の色々な楽器が展示されていて、興味深い。研究者ならここに1日いても飽きないだろう。銅鐸のような鐘がサイズ別に並べられている。数年前、韓国の古都・水原で同じような銅鐸を見たが、大小様々な形で、音階を変えていたのだろう。

それにしても廟内には誰もいない。音楽は元より、風の音も聞こえてこない。廻廊の先に案内役の女性二人が暇そうにしていたが、その囁き声も聞こえてきそうな静けさだった。こうした静けさを孔子は好んでいたに違いない。自分も耳順を随分以前に通り越し、間もなく従心を迎える。孔子の教えには遥か遠い心境ではあるが・・



「箏」が展示されている。
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祭器、礼器なども展示されている。
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孔子の教え、儒教を引き継いだ聖人の霊。現在の孔子の末裔は120数代になる。
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広い廟内は無人の状態だ。
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廟内は遠方の案内嬢の話声が密かに響いてくる程の静けさだった。
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