ちゃおチャオブログ

日々の連続

「サウダーデ」モラエスの愛した町(10)阿波踊りと鱧(はも)のてんぷら。

そごうデパート、モラエス・コーナーを出ると外は既に暗闇が迫り、歩道橋のテラスでは、若者が阿波踊りの練習に励んでいた。
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あの、独特な節回しと踊り、見る人を魅了する。
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チンチン、どんどコ、曲も踊りもいつまでも飽きさせない。
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真夏のエネルギーが夜空に放出される。
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情熱の芸能は、一旦は休憩に入った。
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そごうデパートを出ると、外はもういつの間にか夕暮れになっている。デパートの前には駅前大通りと国道が交差する大きな交差点があって、その交差点を跨ぐようにして、これ又大きな歩道橋が作られている。賑やかな鉦の音、ざわめきがその歩道橋の上の方から聞こえてくる。何だろう、と上に上がって見ると、その歩道橋の上の部分はそごうデパートと繋がっていて、歩道橋からデパートへの出入りが自由になっている自由広場と言うか、テラスになっている。そのテラスの中央部が少し盛り上がって、ステージ状になっている所で、若者数人が揃いの踊りをしている。ああ、阿波踊りではないか!

阿波踊り。そう言えば1週間後に迫っている。このグループは同じ「連」の仲間で、本大会に向けての夜の練習をしているのだ。チンチン、どんどこ、ジャンじゃらじゃやん! お馴染の阿波踊りのお囃子だ。真夏の夜にエネルギーを放出するように、熱が籠っている。繰り返し繰り返し、その2拍子の伴奏が演奏され、「連」の連中は半腰になって、両手を中空に押し上げブラブラさせている。

デパート帰りのお客や通行人も大勢集まって練習風景を眺めている。飛び入りで、横っちょの空いている場所で一緒に踊り出す人もいる。いつ終わるとも知れず、延々と繰り返される伴奏と踊りも、一定の時間がくるとパっと音楽が止み、踊りも終了する。この暑い中、踊り手は大汗だ。彼等は持てるエネルギーを夜空に放出し、さぞやストレスも発散できただろう。漸く暫しの休憩となった。

駅前広場周辺にはホテルサンルートを中心にして多くの居酒屋・飲食店が集まっている。7月最後の金曜日、どの店も大入り満員の状況だ。一人だから、大騒ぎしている賑やかな店に行くのは気が引ける。で、どの店にするか選択に困る位だ。駅前大通りに面した店で表に「金陵」の宣伝が出ている店がある。「金陵」! そうかここは香川の隣県、金比羅山からもほど近いのだ。ここにしよう。

中に入ると、奥に細長いウナギの寝床のような居酒屋で、そこにはカウンター席が10個位ある。ここなら一人でゆっくり飲めそうだ。先ずはビールと次に金陵。メニューを見ると、ハモ(鱧)のてんぷらがあるじゃないか。ああ、そうだ、徳島は鱧の産地だ。ここの鱧が生きたまま大阪食道楽へ運ばれる。淡白な味で、以前食べてからもう何年になるか・・。服部先生と大阪へ行った時以来だ。あの時は梅田の料亭で鱧尽しだった。当時は先生もそごう管財人で大変な時期だった・・。今は一人、あの時以来の鱧を食べ、金陵を飲み、過ぎし時を思い出していた。

< 金陵佳し 鳴門の鱧も 又旨し >


徳島は鳴門海峡の激流にもまれた魚の上手い土地。刺身の盛り合わせも食べなくちゃ。コクのある金陵にぴったりだった。10年振りの徳島の夜。ほろ酔い気分で新町川沿いのプロムナードを通りホテルに戻る。あちこちの広場で、照明の無い真っ暗な中、阿波踊りの練習の鉦の音が響いてくる。徳島の夜だ。


< 阿波の夏 夜のしじまに 鉦の音 >



夕食を食べに駅前の居酒屋に入る。入口の「金陵」の広告に釣られて入ったが、ここには鱧もあった。
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鱧を食べるのも何年振りだろう・・。現役時代が思い起こされる・・。

< 金陵佳し 鳴門の鱧も 又旨し >

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そごう前の歩道橋上では、相変わらず、熱心に踊りが続いていた。
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新町川沿いの公園や広場のあちこちで、「連」の仲間が、それぞれ練習を繰り返していた。
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ああ、徳島の良い夜だ。

< 阿波の夜 辻の暗闇 鉦の音 >
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