ちゃおチャオブログ

日々の連続

イベリア周遊の旅(193)モンジュイックの杜の中のオアシス。

展望台に向かって車道を下っていくと、左側から水音が聞こえてきた。
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車道を出て、杜の小径を水音の方に歩いて行った。
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林の中に突然コリドーㇽ、廻廊が現れた。
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その中ほどに人工的に造られた滝と噴水があった。水音はこの流れが出していたのだ。
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人工的な水路はずっと下まで真っすぐ伸びていて、所々、噴水も見えた。
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こんな杜の中で一体何をしているのか、スポーツウエアの3人の若者達と別れ、そのまま車道を下って行くと、左手にせせらぎのような水の音がする。雨が少なく、乾燥気味のこの公園の中で、水音とは珍しいことだ。車道を走る車も少なく、今は季節のせいか、小鳥のさえずりも殆ど聞こえず、この杜の中でさらさらというリズミカルが音がいやに気になった。車道を離れ、その音のする茂みの方に向かった。

とそこには何とこの杜の中に人工的な構造物、いつの頃出来たのか知らないが、コリドール、廻廊があるのだ。何故かそこには200m程の長さの直線状のコリドールがあるだけで、他の建物等の構築物はない。周囲はすべて林に覆われている。水音はその中央付近の人工的に造られた流れ、林の中の斜面から流れ落ちる水音だったのだ。かなり年季の入ったコリドール、いつ頃出来たのか知らないが、この自然の流れを人工的なせせらぎに変え、その風流を楽しむために造られたに違いない.

現在の建物が25年前のオリンピックの時に建てられたのか、それよりももっと古い戦前の万博の頃に造られたのかは分からないが、言えることは、最初の人工的な工作はずっと昔の紀元前、この町が地中海交易で栄えた遥か昔の頃から既に出来ていたということ、この町の総督、或いはお金持ちの貿易商がこの風光明媚な丘の上に、こうした構築物を建て、何世代かに亘って再築、再建されてきて、現在に至っているのではないのだろうかと。

流れはずっと下の方に真っすぐ落下していて、その途中途中には噴水も見える。全く誰もいない公園の中で、こうした水路を造り、噴水まで作っている。むしろそれが自然の中に溶け込んで、全体が一つの一体となっていて、何か時を忘れ、タイムスリップした無人の古代に戻り、流れ落ちるせせらぎと下の噴水を眺めているような感覚だ。娯楽や楽しみの少なかった昔には、この場所も人々の憩いの場所であり、春夏秋冬沢山の人が集ったに違いない。

そんなタイムスリップしたかのような回廊の石の上に年若き女性が一人横になって眠っている。余程疲れていたのだろうか・・。ぎょっとした。こんな所に人間が!全く予想外だった。魔女ではないとしても、彼女の眠りを覚まさないように、そっとその場を離れ、そそくさとコリドールを抜け出て行った。何回か後ろを振り返ったが追いかけてはこなかった。

再度又茂みを登って元に車道へ出るのも面倒で、そのまま小道を下り降りて行くと、何か林の中に瀟洒な建物が見える。最初は誰かお金持ちの別荘かとも思えたが、近づいていくと入り口近くにレストランの表示がある。こんな山の中で、極端に言えば人里離れた場所に、隠れ家のようなレストランがある。スペイン人の随分奥ゆかしいもてなしだ。興味が湧いて、中に入ってみることにした。

中庭にはテーブル席が10客程あり、2-3のテーブルが塞がっている。知る人ぞ知る秘密の隠れ家、と言った感じのレストランだ。サマランチ記念館からは車道や林の中を大分歩いてきて、丁度一休みしたい処だった。ビールで喉を潤そう。杜の中のオアシス。ビールをゆっくり飲んで、随分贅沢な気分になった。


ぎょ、石のベンチの上に誰か人がいる! 女性ではないか! 誰もいない、こんな場所に・・。
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何か魔物に誘い込まれないように、そっとその場を離れる。
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少し下った先に、今度は杜の中の別荘のような建物が見える。
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近寄ってみるとレストランになっている。
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ああ、杜の中の隠れ家のようなレストランだ。ここで一休みしよう。
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うーん、少し歩いた後の美味しいビール、至福のひと時だ。
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