ちゃおチャオブログ

日々の連続

由美子、難病SLEとの戦い(23)最後の病室。

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翌日の日曜日、即ち亡くなる前日だが、昨日の一時帰宅で疲れたのか、殆どベッドに寝た切りだった。又何故か痛みを訴えるようにもなってきた。車椅子での散歩もままならず、家から持ってきた本を読み聞かせる。「今日はNHKの朗読の時間だよ」と。原田マハの「ジベルニーの食卓」。そこにはピカソマティスドガルノワール、最後にモネの殆ど晩年の情景が書かれている。本人は聞くともなく聞かないともなく、ベッドに横になったまま薄目を開けている。「由美さんの好きなツバイクでなくて、御免ね」。「ツバイク・・、もう忘れた・・。・・もうどうでもよい」。由美子からの一言。本の中身にもツバイクにももう何もかもにも余り関心を持たないようだった。千葉大学生時代あれ程傾倒していたツバイクにも今はもう全く関心を示さなかった。
 
それからは読み聞かせは止めて、マッサージ、擦りに専念した。自分にキリストのような超能力があれば、こうして擦ってやるだけで、由美子の痛みを失くしてやれるのに・・。ただ由美子は少し強く触れるだけでも、寝返りを打つだけでも痛がっていた。ただ自分の擦りに痛みも少しは和らぐようだった。気持ち良さそうな顔つきではなかったが、「もっと」、「もっと」、と擦りを求めた。Caress,愛撫と言う表現が適しているかどうかは分からないが、やさしく愛おしくCaressしてやった。
 
そんな時に担当の河野先生がやってきた。日曜日の夕方なのに様子を見にやってくる。若くて良い先生だ。由美子も最初からこのような先生に担当してもらっていたら、今のような状態にはならなかたかも知れない。それも又運命の廻りあわせだったのだろう。今更望んでも詮無いことではあるが・・。
 
 
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