
片道10時間、往復20時間をかけてやってきた遠来の客を迎えるに相応しい日本側の歓待ぶりだった。今まで米国大統領の国賓訪問は何人もいたが、それは常に日本に来た後に韓国ないし、他の歴訪の一環だった。往復20時間という大きな時間的ロスを考えたら、効率を考えるのは当然のことだろう。今回も韓国からは、日本の後からの韓国訪問に強い要請もあった。しかしトランプはそれには答えず、東京単独訪問の目的のみで、やってきた。総理の面目躍如である。トランプ氏もこれだけの長時間をかけて日本のみにやってくることの重い価値を考えていたのだ。
世の中にはいろいろ批判はあるかも知れない。マスコミがべったりの報道ぶりに呆れて物も言えなくなった人もいるかも知れない。たかが一米国大統領の訪問、ペリーやマッカーサーと比べるべきでないと。だが、多くの日本人は知っている。何を言い出すか分からない大統領。どんな無理難題を吹っかけてくるかも予測できない大統領。日本が何をすべきか、総理はどう対処すべきか。いろいろな批判を受けたとしても総理はよくやった。トランプ旋風、暴風雨にもならず、波風も立たず、大統領は終始ご機嫌だった。初めて見る安倍外交の成功例だ。
今日になっての午前の皇居招待、御面談。夜の歓待、宮中晩餐会。令和になってからの国賓第一号、じゃじゃや馬トランプ大統領をお招きする陛下皇后の緊張やいかばかり。しかしそれを物ともせず、日本を代表し、任務を立派に勤められた。
トランプさんも奥さんも背がバカ高い反面、二人並ぶと陛下の背の低さが少し気になるが、まあ日本人だから相手もそれを承知しているだろう。彼のことだから、かえって優越感を感じているかも知れない。二人の間にしかつめらしさは微塵も感じられず、却って、ホワイトハウスへの招待を受けた。トランプ再選の折には、早々と訪米し、この日米の緊密さを更に密にしていく必要があるだろう。
ただ今日の皇居訪問で、一つだけ残念に思ったのは、トランプ氏と上皇上皇后との面会の場が設けられなかったことだ。上皇が一線から退いたとは言え、トランプ氏も一言上皇に挨拶したかっただろう。上皇、皇后にしても挨拶したかったと思う。同じ皇居の中にお住まいがあって、官邸、宮内庁にはそうした配慮はなかったのか・・。
後1点、10人の公式随行員の中にボルトンの姿が見えなかったことだ。彼は忙しく、もう既に日本を立ったのか、それとも意図的に外されたのか・・。ボルトンの動向には目が離せない。当方の単なる杞憂でなければ良いのだが・・。
