ちゃおチャオブログ

日々の連続

5.11(月・晴れ)星野が死んだ--- 良き人 は先に 逝く。

 

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良き同僚、星野さんが急逝した。自分よりは2-3歳年下だから、享年71か2か・・・。長生きの現代、早死の部類に入るだろう。数年前から健康上の問題を抱え、入通院をしていたようだが、詳しい事情は知らない。彼とはもう何年も没交渉。交友関係を断っていた。それは自分の唯一の趣味、ブログに関わることだが、もう10年以上も前、名文家の彼からのブログコメントを楽しみにしていたのだが、いつか突然にストップしてしまった。理由を聞くと、「自分はブログは嫌いだ」と。その後、何回か、ブログは当方の生きがい、生活の糧のようなものだから、当方を助けると思って、コメントを待っている、とお願いしても、彼の考えは変わらなかった。それを契機として、彼とは袂を分かつことになり、年賀状のやり取りも途絶えてしまった。

 

その後、今年の元旦、彼から何年振りかに年賀状が送られてきて、近況と俳句が一句書いてあった。彼もブログをやる積りになったのかと、賀状を返信したが、それには返事もなく、今日の訃報となった。

 

今日は初夏の好天、ブログ友のTakaさんからの要望もあり、ムサシノキスゲの写真を撮るために浅間の里山を散歩していたら、友人の大さんからの急報で彼の死を知った。彼との交友、30数年が思い出された。会社での仕事は一緒にしたことはなかったが、彼は法務畑で、自分のクレーム部門とは接点もあり、人柄も良く、話し好きで、知性豊富な彼とは、酒の上でも愉快な時間を過ごすこともあり、楽しい思い出が蘇った。

 

今は自分は内田康夫の大フアンであるが、旅行好きの自分を知って、トラベルミステリー作家の内田康夫の面白さを教えてくれたのは彼であり、その後、内田の単行本はすべて読むことになった。今は本以外でもテレビドラマ、浅見光彦シリーズも欠かさず見ていて、本の中の情景を思い出したりしている。

 

彼は又俳句にも造詣が深く、自分がヘボな俳句を始めたころ、角川選書山本健吉の「定本、現代俳句」を贈ってくれた。内容は初心者の自分には相当に難しく、殆ど積んどく状態だが、今でも居間に転がっている。浅間から帰り、改めて現代俳句を手に取る。自分もこの定本をしっかり読み込めば、ヘボなりに多少の磨きがかかったかも知れないが・・、自分磨きの意識は低かった。

 

本を他人から贈ってもらったのは、彼が二人目だった。自分が県内の難関校沼津東に合格した時、そのお祝いに姉から英文のOxford Britanicaの分厚い辞書を貰った時以来のことであり、星野さんの本のプレゼントには彼の知性が感じられた。彼は元々は出版社に入って、編集者をしたかった、と酒の中で話していたが、酔った勢いか、当方の文章は素晴らしく、編集者として関わりたかった、等々、酒の上とは言え、お世辞以上のことを口走っていた.。彼こそ編集者になりたかっただけあって、素晴らしい名文家であり、他人を褒めて上らせるお上手口だったのだろう。 

 

彼の好物は牡蠣で、以前一度牡蠣に当たって酷い腹痛にあったと顔を顰めて話していたが、それでも牡蠣が好きで、以前まだ自分も星野さんも現役の頃、広島の知人から生カキがスチール缶に入れられて自宅に送られてき来た時、彼を自宅に呼び、他の何人かの友人と生カキパーテイをしたが、その時の彼は眼を 細めるようにして、上手に殻を抉って中の生カキを取り出し、美味しそうに食べていたのを思い出す。皆で、かなりの量の生カキを食べたが、彼にも良い思い出として残っているだろう。 またいつかの夏、 銀座の先生と 能登 の  岩牡蠣 を 食べに行った こともあったが 、それも 又 いい思い出になったに違いない。

 

一度は彼のお姉さんの交通事故の相談で、横須賀の自宅を訪問したこともあった。新橋の弁護士を紹介し、お姉さんにも来て頂いたが、高齢の弁護士を不安視したのか、先生にお願いすることもなく、そのままになった。その時の帰り、先生と彼と3人で新橋駅前で飲んだが、それが彼との最後の別れになってしまった。その後、お姉さんの事件がどうなったかは、聞かず終いになっている。

 

今年の正月、奥さんとの連名で年賀状が送られてきたが、その文面に、「お変わりありませんか。歳とともにガタがきていることを痛感しています。どうぞ良いお年をお迎え下さい。」と認めてあり、文面からは病気から立ち直ったようにも思えた。

文面の最後に

「晩年の 子規に継るや 冬の空」をさむ

とあり、或いは今日の結果を暗示していたのか・・。

子規の気管支カタルと冬の空。今改めて目を通し、彼の心の淋しさを思う。 

浅間の林で彼の訃報を聞く直前、初夏の草花に囲まれ久し振りに作句した。

里山に キスゲも咲くや 初夏の風」

彼への返歌として送るが、相変わらずのヘボさ加減で、黄泉の向こうで、きっと鼻白んでいるに違いない。

                合掌

 

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