日本人は大和魂などいって、日本人同士を褒めたたえるが、昨日優勝した照ノ富士は、日本人以上に強い精神力の持ち主だ。5年前、大関優勝で、もう直ぐにも横綱と、衆目一致していたが、あにはからん、そう上手くは行かなかった。墓所中にケガをして、大関陥落。その後、ひざ痛、糖尿病、内臓疾患等で、休場が続き、あれよあれよと番組最下位の序二段まで落ちた。大関の時には、何人もの付き人に囲まれ、花道を風を切って歩いていたが、序二段の今は、自分が下働きで、関取衆の従者となった。栄光の地位から最下層の地位まで落ちて、普通の人なら、ここで腐って、相撲界を辞めていただろう。ただ彼は並みの力士とは違った。最下位から這い上がって、昨日は幕内最高優勝を飾ったのだ。「辞めなくてよかった。家族、親方、女将さん、周りの人に助けられ、今日までやってきた。お返しできて本当に嬉しい。」と。
誰だったか、貴乃花だったか、大関昇進の時に、不撓不屈の精神で邁進します、と口上を述べたが、昨日の照ノ富士は正にこの精神で、心が折れず、頑張って来た。日本人以上に偉いぞ。いや、日本人が忘れてしまった大和魂を思い出させてくれた。白鳳は既に日本国籍を取っている。彼も日本人になってもらいたい。心の純な日本人に。
5年間の辛酸は彼に取っては辛酸ではなかったかも知れない。明確な目標があり、その目標に向かって、一番一番を取り続け、勝ち続けてきた、昨日はその積み重ねの結果だったと。5年前は行け行けドンドンで優勝した。今は違うと。何と謙虚な社会に対する感謝の心で満たされていた。27歳、素晴らしい力士に成長した。艱難汝を玉にする。道はまだ半ばだ。道中に朋あり。上を目指し、相撲道を極めてもらいたい。