第五十四番延命寺の本堂は、山門からは真っすぐ正面に立っている。左手の山はこの寺の山号、近見山だ。
火伏不動尊。
本堂。
この寺は別名花の寺とも呼ばれていて、境内には様々な庭木が植栽されている。
今回の四国巡礼、伊予一国合計26ケ寺の内、最後の二日間で12ケ寺を参拝する。今日はその最初の札所、第五十四番延命寺にやってきた。今治市内には6ケ寺あるが、皆それぞれ市内に集中していて、午前3ケ寺、午後3ケ寺の配分で参拝すれば十分可能だろう。今朝ホテルを出た後の出だしで少し躓きがあったが、まあ大した時間の消費ではない。十分カバーできるだろう。
明治の初め、今治城から移築された少し華奢な感じの山門を潜って境内に入り、正面に見える本堂に向かう。本堂は山門から真っすぐ伸びた正面の少し高台の上に鎮座している。この寺も行基の開基と言われ、不動明王をご本尊としている。行基はここに大日如来の化身不動明王を彫って本尊とし、元々はこの本堂の後ろに控える高さ250m程の大見山頂に祀られていたのだが、後、弘法大師がやってきて、ここを信仰と学問の道場として再興し、一時は山中に100ケ寺を越える堂宇もあったのだが、再三の火災等により、江戸時代の中頃、今の場所に移転した、とのことである。徳島のお寺の多くは土佐の盟主長曾我部の兵禍により焼き討ちに遭ったが、ここ愛媛、伊予のお寺に関しては、長曾我部からの被害は余り出ていない。この辺りの守護、越智や河野の勢力が衰えていなかったのか・・。
本堂で不動尊の真言、ノウマクサンマンダを唱え、大師堂で般若心経を唱え、火伏せ不動尊を写真に収め、市文化財の梵鐘を撞く。誰もいない境内に静かに響く。本堂の横手から奥の山、近見山中腹に向かって長い石段が伸びている。この石段の先に奥の院、薬師堂があるのだが、時間も無いし登るのは止めた。今日1日の脚力も保存しておかなければならない。本堂の下の納経所でお印をもらい、次の南光坊に向かうことにした。南光坊は今治市内にある。
この石段の上に大師堂がある。