高松空港は市外の山に近い場所にある。
小高い山並は讃岐山脈だ。この山中のどこかに88番霊場、大窪寺がある。
四国の山々、又来る日まで!
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機は離陸待ちもせずに、直ぐに飛び立った。
右手方向にさぬき平野、八剣山が見えそうで見えない。
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JAL478便。ボーイング機の形式までは分からないが、国内線で多く使用されている機種だ。多分満席で180人は乗れるだろう。その半分にも満たない乗客を乗せ、定刻の11時50分、高松空港を離陸した。コロナ禍で無ければランプウエイに出てから離陸までの少しの間、管制塔とのやり取りで、他の航空機や着陸機の待機待ちで、暫く足止めされるのが常だが、今日はそのままターンして滑走路に進み、何らためらうこともなく、そのまま真っすぐ前方の空に向かって離陸した。
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窓の右手前方に小高い山が見える。徳島との県境をなす讃岐山脈だ。あの山中の中に四国霊場最後の札所大窪寺がある。一昨日5時の閉門ぎりぎりに滑り込みセーフで、見事八十八ケ寺目の御朱印を頂いた。あの時も少しばかりの満足感、達成感を思ったが、今改めて山並を眺め、一つの仕事が終わったことを感ずる。本当にもうやってくることはないかも知れない。これが四国の最後の光景になるかも知れない。だが、本当はもう一度でも何度でも、やってきたい。何度でも、祈り足りなかったお寺に参拝し、再度祈り、語らい、思い出に浸りたい。霊場は自分には分からない磁力、何かを引き付ける吸引力を持っているのかも知れない。それが1200年間人々を吸引してきた自力、魔力かも知れない。
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離陸した機は屋島の上空を飛翔し、真っすぐ瀬戸内に向かう。座席が右側だった為、高松市内は見えないが、代わりに右下にさぬき市、平賀源内の故郷、志度の海外線が見える。死出の旅、志度道場のある海岸線で、ここも又補陀落渡海の町だった。一旦は瀬戸内洋上に出て、眼下に関西方面の海外線も見えたが、直ぐに又機は右旋回し、紀伊半島上空を横断し、太平洋上に出て、一路北に向かった。
眼下は高松市街地なのか・・