連休の日曜日。天気も良く久しぶりに浅間を歩く。例年この時期には府中市主催のキスゲ祭りが行われるのだが、去年も今年も開催は中止になっている。祭りと言っても静なもので、市の職員数人と、浅間の自然を守る会のメンバー数人がテーブルを出して、色刷りのパンフを置いて、住宅地に囲まれた里山に残る武蔵野の自然をPRする程度のものだ。だから祭りと言っても屋台が出たり、飲み食い種類が提供されるものではない。だが、30年ほど続いているこの祭りもコロナ禍で2年連続の中止となった。
丁度今のこの季節、キスゲが咲くころだ。天然記念物の武蔵野キスゲ。この場所にしか咲いていない。もう一つは主流の日光キスゲ。霧降高原の斜面いっぱいに咲く日光のキスゲと比べ、ここ浅間のキスゲは数も少なく、しとやかだ。それでもこの季節になると祭りがあってもなくても、付近住民が1年に一度のキスゲを見にやってくる。
今日は午後から突然の曇り空、にわか雨。東屋には雨宿りの人でいっぱい。雨を予想せずに傘を持ってこなかった人も多い。自分もその一人だ。いずれにしても通り雨。暫く待って雨足が弱まり、又散歩を開始した。例年はエゴの花がいっぱいに咲いているのだが、今年はまだ蕾だけ。一足早くアカシアが咲き、白雲木も咲いている。前回来た時は金蘭しかさいていなかったが、今日は銀蘭も咲いている。春から初夏にかけての自然の里山。この山はキスゲの里でもあり、ヤマユリの里。来月になれば、山百合も咲き始めるだろう。無味乾燥の人間社会に自然だけは裏切らずに毎年花を咲かせている。自然の潤いは人に命を与える。