ちゃおチャオブログ

日々の連続

紀の国訪問記(26)別格本山清浄心院を下山する。

庫裏は床が乾拭きされ、黒光りしている。ここの大鍋は巨大だ。

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神仏習合の名残。この前で写真を撮ると幸運が訪れるとのことである。誰もいないから、カメラもお願いできない。

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新たに造られた法堂。この隣には秀吉も花見をしたという傘桜がある。

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清浄心院の前の通りをバス停に向かう。

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昨日今日で今回の旅行の当面の目的は達せられ、本堂須弥壇の前で本日75回目の誕生日を報告し、後はこれからは気ままな南紀の旅となる。「蟻の行列」と言われた熊野詣、熊野三山、本州最南端、潮岬巡りにも興味はあった。75歳の誕生祝として、自分で自分にご褒美をやることにしよう。しかし今年の誕生日前に運転免許更新のハガキが来て、いろいろ高齢者の事故も多く、自分が同じように加害者になる惧れもあり、今回の旅行前に免許証を返納したが、今思うと少し早まったか。少なくとも、この旅行が終わってから返納すべきだった。

 

都内で生活している限りでは免許の有無は全く支障はないが、地方の場合は社会全体が車中心で成り立っていて、車がないことは大きな不便を被ることになる。今日これから向かう南紀串本にしても免許証があってレンタカーを借りられれば、護摩壇山の山越えで、直に南紀白浜に出て、串本までも2‐3時間で行ける筈だが、車がないとぐるっと大回りして、行きつくまでに何時間もかかる。昨日もそうだった。関西空港から高野山までは車であれば2時間も掛からない所、幾つもの電車の乗り換えで、一旦は大阪まで出て、半日以上かかってここまでやってきた。まあ、それもこれも安全、安心とのバーターと思えば、より安全を時間で買ったことにはなるが・・。そう思って前向きに考えよう。

 

宿坊、別格本山清浄心院。機会があればもう一度やってきて、今度はゆっくり境内、位牌、ご本尊等眺めよう。今回は余りにも慌ただしかった。昼過ぎに高野山に着き、昼食後直ぐに奥の院に参拝し、その後は夕食まで高野山を歩いた。そして今朝の勤行と朝食後、直ぐにも寺を出てケーブル駅に向かう。旅にはもっと余裕があった方が良い。今年の2月、4月に2回続けて石垣島へ行ったが、あの時は本当にゆっくりできた。時間の進み方が東京の半分の遅さだ。バンナの丘からトコトコトコトコ市内まで歩いて戻って来たことも良い思い出に残る。あの乳飲み子を抱え、3歳ほどの幼児の手を引いて前を歩いていた母子は今頃どうしているか・・。西表島で自分しか乗っていない客を相手に、日に3回島の循環バスを運転していた高齢の児島さんは今頃どうしているか・・。時間があればいろいろの人と触れ合うことも出来、思い出にも残る。

 

部屋からは昔の庫裏を見てから外に出る。大きな深鍋が置いてある。山形の芋煮会で使うような大鍋だが、深さは倍以上ある。今この寺に修行僧が止宿しているようには見えないが、江戸時代~戦前までの頃は沢山の僧侶が生活していたかも知れない。或いはまた、高家の法事等で、一度に沢山の御膳を作る必要があったのかも知れない。それ程大きな鍋だった。この寺が別格本山と呼ばれる所以は、寺自体が弘法大師の創建によるものでり、後勅命により寺号、山号が与えられたとのことである。

 

この寺のご本尊廿日大師は、弘法大師が入定する前日の3月20日に弘法大師自らが彫ったものでああり、今は秘仏となっている。ここは又上杉謙信の祈願所でもあり、先刻奥の院で謙信の霊屋(重文)を見てきたが、それはこの寺が管理するものであり、又、近くにある佐竹家の菩提寺ともなっている。先刻勤行前に位牌棚の正面に夏目家の位牌を数基みたが、その中に漱石、本名金之助他数名の見知った名前もあった。佐竹家は今でも大檀家で、毎年親族が参詣にやってくるとのことである。本堂の横の別室、ここでは奥の院と呼んでいるが、そこには運慶作の重文阿弥陀如来像が安置されていて、金色のまばゆい光を放っていた。若住職がこの寺の息子さんか、副住職かは分からないが、シンバルの玄妙な音色と同様、解説も又奥深いものであった。当方今日の午後の護摩行には参加できない旨伝え、護摩木を若住職に渡し、この寺を辞去した。

 

ここは別の宿坊、地蔵院。客の姿は見えない・・。

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苅萱堂バス停。苅萱は高野聖の中に出てくる父子の話だ。

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さて、再び高野山ケーブル駅にやって来た。

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ケーブルを降り、南海電鉄高野線に乗り換える。

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