ちゃおチャオブログ

日々の連続

函館の三日間(46)函館、旧今井百貨店。

一休みしたロフトから直ぐの場所に旧今井百貨店があった。戦前の百貨店を思わせる風格ある建物だ。

 

実際、中々凝った造りになっている。

 

建物は現在函館市に買い取られ、内部は市の交流センターになっている。

 

縄文土器等のパネル展示もされている。職員が新設に館内を案内してくれる。

 

函館、旧今井百貨店は十字街の直ぐ横、市電通りの入り口に建っている。箱館十字街は東京銀座で言えば4丁目のような所。目抜き通りの中心だ。そこにこのデパートは建っていたが、もう何年も前に廃業し、本体の百貨店自体も今では丸井に吸収合併され、丸井今井函館店として、別の場所で営業している。この百貨店というか、建物に興味を持ったのは、半年ほど前の毎日新聞日曜版に大正時代のレトロの美として紹介記事が載っていたことであり、函館に行く機会があれば、是非一度お目にかかりたいものだと、思っていた。

 

今日の午後はこの建物を最後に見る為に随分と歩いた。函館駅前から路面電車に乗って函館ドッグまで来て、そこから塩見坂を上り詰めて外人墓地まで行き、今度は函館山の裾野の鉢巻き状道路を元町公園まで出て、旧英国領事館を見た後、ここまでやって来た。午前中の大沼公園サイクリングの歩行距離を合計したら、もう2万歩は歩いている。足はヘトヘトだ。だが、あくなき欲望、市電にも乗らず、ここまでやってきた。

新聞での紹介記事はもう殆ど忘れてしまったが、大正末期、当時函館は関東以北で最大の町で、そこに関東以北で最大の百貨店が造られた。それがこの旧今井百貨店で、重厚な造りの3階建てビルは、どことなく三越銀座店かその前の和光を小型にしたような感じのビルだった。全体に丸みを帯びたネオロココ風の建物は、買い物客に贅沢さと気品さを与えるものだった。その数年後には5階建てに増築され、当時としては珍しい手動式のエレベーターも設置された。今でも東京のデパートには一部残っていると思うが、美人のエスカレーター嬢が主導で蛇腹式の扉を開け閉めし、各階のフロアー案内をする様は、お上りさんにとっては憧れの的だった。

 

この函館銀座4丁目の今井百貨店が何年前に廃業したのかは知らないが、建物自体は函館市が買い取ることになり、今ここは市の観光案内センター、地域交流街づくりセンターになっていて、建物は一般に公開されている。正面入り口は当時の豪華さを思わせる大理石造りで内部に入ると、奥に事務所センターがあり、第三セクター従業員なのか事務仕事をしていて、この入り口の雰囲気とは大分チグハグな感じだ。もう既にデパートではないので、商品が展示されていないのは、当然のことだが・・。カウンターで来意を伝えると、中から中高年の男性が出てきて、案内してくれるという。入って正面に幅広の階段があり、そこが嘗てのメインストリートだったのだろう。重々しい大理石で造られていて、如何にもお金持ちの有閑マダムが買い物に来そうな7雰囲気だった。

 

親切な係員は当時のデパートの状況や、蛇腹のエレベーターまで案内してくれ、エレベーターに乗って上階まで行きますか、とサービス精神豊富だったが、係員が若い女性なら喜んで箱に乗ったかも知れないが、時間も既に4時半を過ぎていて、彼の帰りが遅くなるのも申し訳なく、遠慮して置いた。建物を出た直ぐ横が十字街交差点で、そこには日本では珍しい立体式の交通整理管制ポストが立っていた。

 

入って正面に豪華な大理石の階段がある。嘗ての栄華を彷彿させる。

 

階段奥の方に蛇腹式の手動エスカレーターがあり、今でも現役だ。

 

旧今井百貨店。今回の函館旅行の最後の観光となった。

 

この旧デパートの直ぐ横が十字街交差点。今では珍しい立体式の交通管理ポストが立っていた。