ちゃおチャオブログ

日々の連続

4.25(火・晴れ)不幸な母娘。左眼手術は5月31日。

 

 

琵琶湖の畔、滋賀県野洲川と言ったら、紫式部と中大兄の恋歌、「茜さす紫野行篠野行、野守や見ずや君が袖振る」に詠われた緑豊かな場所辺りと思うのだが、5年前、この野洲川で凄惨な事件が発生した。頭部と手足が切断されて胴体だけの女性の腐乱死体が発見されたのだ。捜査の結果、この現場付近に住む、57歳の主婦と判明した。

 

この家には主婦と20代の娘の二人暮らしで、その20代の娘が死体遺棄で逮捕された。娘は看護師になったばかりで、死体の扱いなどは実習で習っていたようだ。警察の調べに、母親は自殺し、その処理に困って風呂場でバラバラにし、近くの野洲川河川敷に埋めた、とのことだが、死体の上を覆った土が飛ばされ、地中から死体が露出してきたのだ。

 

裁判の結果、死体遺棄、損壊で10年以上の判決を受けたが、その控訴審中の大阪高裁で、娘は母親を殺害したことを自供した。判決は殺人罪で、意外にも1審よりも軽い刑期の懲役刑となった。先月の事だ。

裁判の中で、この母娘の壮絶な親子関係が明らかになった。娘は地元の中高一貫のキリスト系学校を出ているが、母親の望み、というか、指令は国立系の医学部へ行くことで、本人は9浪もしたが、結局医学部へは進学できず、27歳になってようやく地元の滋賀大看護学部に入学できた。3年間の学業を終え、31歳になって漸く看護師として働くようになった矢先の事件だった。

 

世にモンスターペアレンツという言葉がある。出来の悪い子供を溺愛し、その出来の悪さを学校にせいにして、学校側を攻撃する。この殺害された母親は、その攻撃を自分の娘に向けていた。修羅の家だったようだ。檀一雄の小説に火宅の人があるが、そんな生易しい「火宅」などではなく、「地獄の家」だったようだ。

娘に取って、この先自立して生きて行くためには、母親を殺すしか手段はなかったようだ。実に不幸な親子関係だ。

この家族には別居している父親もいる。しかしこの9年間、父親がこの母娘の関係に関与した状況は全く見られない。娘の学費にしても、祖母がお金を出していたようだ。父親不在の不幸な母娘の地獄の関係。

 

人間は生きる動物。好き嫌いもあれば、人同士の相性もある。単に友人関係なら、相性が悪ければ、付き合わなければ済むことだ。だが、肉親関係、取り分け親子では、縁を切ることも出来ない。その腐れ縁は死ぬまで一生続くのだ。

本当は娘も早くに家出し、自活する道を選べば良かったのだが、9年間毎日が地獄だった訳でもなく、穏やかで、情のある日常もあったようだ。間欠泉のように平和が戻って来る。それが肉親の親子関係の難しい処かも知れない。

いずれにしても二人に取っては不幸な事で、前世の巡り合わせで、こうしたいがみ合う親子に結びついたのかも知れない。

 

午後眼科医。左眼の手術は来月の31日(水)、1週間開けて、6月七日に右目の手術を行う予定になった。既に賽は投げられた。走り出して、元には戻れない。