南円堂。八角形の御堂は珍しい。
南円堂の前には、銅製の大きな燈篭が立っている。奥に見えるのは中金堂。
南円堂の向かいには不動明王が祀られている。
南円堂右横の藤棚とその奥にある納経所。
南円堂は仏教寺院としては珍しい形のお寺だ。南円と呼ばれているが、正確には円ではなく八角形だ。斑鳩にある法隆寺の国宝夢殿も八角形であるが、大分後から創建された興福寺は、この夢殿の様式を見本にしたのかも知れない。この南円堂は江戸時代の再建で、国宝にはなっていないが、ここから数百m北にある北円堂は室町時代の再建で、形はこの南円堂とそっくりの八角形であるが、国宝に指定されている。いずれにしても八角形、円形のお寺は珍しく、自分も夢殿以外には余り見た記憶はない。
南円堂自体は重文であるが、この中に安置されているご本尊、不空羂索観音像は運慶の父親の作とされ、国宝に指定されている。西国三十三ケ所観音霊場の中で、不空羂索観音をご本尊としているのはこの寺だけである。然しながら、お参りは外からだけで、堂内に入ることは出来ず、国宝にお目見えすることはできない。この寺も歴史の古い大官大寺で、東大寺同様に多くの国宝建造物、仏像が指定されている。
堂宇の外に広い藤棚があり、今は季節ではないが、ここの藤棚は奈良でも有名な藤が咲くと言われている。その藤棚の奥に納経所があり、西国第九番の御朱印を頂いた。そこのカウンターにちょっとしたお土産コーナーがあり、孫の二人にお守りを買ってあげ、一言観音堂、延命地蔵尊にお参りし、石段の上から猿沢池を眺め、元来た参道をUターンして戻ることにした。足が元気だったら、直ぐ北にある北円堂にも行きたかったが、歩くのが大変でオミットした。何よりも残念なのは帰り道の途中にある国宝館で、ここには数多くの国宝が展示されているが、そこへ行くまでの僅かな距離、又、館内に入ってからの歩行を考えると、オミットせざるを得なかった。
南円堂の前から猿沢池を眺める。以前は池からこの石段を登ってやってきた。
正面が中金堂で、左手に北円堂の屋根瓦が見えている。
これからあと1か所、唐招提寺へ行かなければならない。興福寺はこれ位にして元のバス停まで戻ろう。
国宝、東金堂にもお参りし、寺を後にする。