今日は東京都知事選投票日。順調に行って小池の圧勝だろう。日本人は変化を好まない。東京周辺の人口は3000万人を越えて、日本全体の3割を越えている。GDPは国全体の6割になっている。本当は日本人は最大関心を持つべきだが、候補者間のテレビ討論会が行われたのは、自分が知る限り僅か1回で、それは公示日当日、NHKの5時台の番組で、上位5人の候補者を集めての1時間程の討論会だった。他の民放、その後のNHKは一切そうした番組を組まず、東京郊外の住宅地に住んでいる自分など、今現在が選挙中とは思えない静けさだ。こうした争論、論争の生じない無風状態の中での選挙戦、現職が圧倒的に有利で、小池が自動的に再選されるのは自然の流れだ。
日本人は元々論争を好まない。昨日の続きが今日で、今日の延長が明日で、その間の変化を好まない。少しづつの生活向上、所得の増大、環境の変化は受け入れるが、それは僅かな変化で、基本的には今の生活が壊されないことを望む。
日本の政体、政治状況を見ていると、政治に色がない。今欧州で吹き荒れているような極右の台頭は日本にはないし、現実的な色として、米国共和党の赤と民主党の青、赤と青の対決によって国を二分し、その色の多寡によって大統領が選任される。日本でそうした国を二分する状況が生じたのは近年では2回しかない。最初は小沢チルドレンの姫マドンナの台頭で、次が非自民連合の政権だ。
一昨日行われた英国総選挙。14年続いた民主党は惨敗し、労働党が全体の7割の議席を奪う大躍進。Great Rotationだ。14年間の民主党政治に国民はノーを突き付け、雪崩となって労働党に向かった。日本にはこういう事はおこらない。戦後70数年、ほぼその大半に君臨してきた自民党政治。不祥事があって一時的に人気を落としても、又暫くして復元し、再び君臨する。
昨日の選挙ではあのイランですら、大統領を国民の意志で選任する。フランスのルペン、イタリアのマローニは既に首相になっている。オランダの極右政権もつい先日成立した。極右=国家主義の台頭で、マローニはムッソリーニの孫弟子のベルルスコーニの後継を自認していたが、今はその色を消して目立たないようにしている。
国家主義=自国第一主義が好ましい政体かどうかは別にして、行き過ぎた国際化、自国民を犠牲にしての他国への援助、受け入れに大きな疑問が発せられ、国民の同意を増やしている。そうした流れの中で、America Firstのトランプが次期大統領になるかどうかは今の処未定だが、米国人に限らず、そうした思いを多くする国民は世界の主要国の中に広がっている。
共産党以外の自野共に日本の政治にはそうした極端な色を鮮明にした政党はない。国会論戦もちまちました手続き論に終始し、国を動かすような政策論争が欠けている。今日の都知事選、自公対野党の対決を望む都民も多いはずだが、56人の候補者は全て無所属か諸派だ。諸派の大半はNHK反対党である。野党候補の蓮舫すら無所属で、旗色鮮明にしていない。これでは圧倒的多数派の小池には勝てようがない。
政治家が率先して喧々諤々の政策論争を行い、選挙民を巻き込むことをしない限り、日本の国家も国民も色の失せた、活力の乏しい国になって行く。少なくとも、米国大統領の2期8年限度のように、総理を含めての任期年限の制限、2世、3世議員の制限等を定めていかないと、日本はいずれ後進国のような利権構造の国に落ちぶれて行ってしまう。アフリカや南米に見られるような民主主義とは名ばかりの専制国家になったら、お終いだ。