
駅前は閑散としていて、人も余り歩いていない。

駅前のバス停で、ベンチで待っていると善峯寺行のバスがやってきた。

山中のバスの終点からお寺まではかなり急な坂道を登ってやってくる。途中の切れ間から京都の大原野が眼下に見える。市街地の先の山並も見える。

伊丹空港から今回最初の霊場善峯寺のある最寄り駅向日駅までやってきたが、小さな駅で無人駅だ。改札の前に小さなキオスクがあり、その横にコインロッカーもあるが、サイズが小さくキャリーバッグが入らない。キオスクで預かってもらう訳にも行かず、寺まで持っていくことにした。バスは1時間に1本。次のバスが10時30分。駅前は飲み屋も無ければパチンコ店も学習塾もない。京都の隣駅だが、実に田舎の感じの駅だ。ベンチで休んでいるとバスがやってきた。
バスは少しばかり賑やかな向日町の町中をほんの2‐3分で通り抜け、後は郊外の畑地を走って行く。ここは良くは知らないが都が奈良から京都に移る以前、少しの間都がおかれた長岡京の跡地に出来た町と思うが、バスに乗っていて周囲を見ても、そんな標識とか、遺跡らしきものは全く見られない。郊外の田園風景だ。畑地が多いのはこの辺りは京都西区の大原野の延長線に位置しているからだろう。
バスは畑地混じりの郊外を通り過ぎて山道に入る。駅から30分程走った山中が善峯寺バス停の終点になっている。町からはかなり上って来た。ここは折り返し点の終点で店も何もない全くの無人停留所。バッグを預ける所も無い。ここからお寺までは更に数百mの急坂を登らなければならない。バス停の近くに人目に付かない茂みがあり、キャリーバッグはそこに隠すように置いて、杖をついて空手で寺までの坂道を登る。途中樹林の切れ目から眼下の京都の町が見える。桂川周辺の京都郊外、大原野だ。京都盆地の反対側の清水寺の山並も見える。
景色を眺めていると疲れも取れてきた。お寺まではもう一息だ。九の字に曲がった参道の先に小さな山門も見える。両側の手摺を助けに腕の力で坂道を登る。もう直ぐだ。漸く登り切った。山のお寺。車の無かった頃の参詣者は大変だったろう。この小ぶりな山門をくぐった先に大きな駐車場があり、何台かの車も停まっている。車の人は楽だ。今は車の時代で、バス停からこの坂道を登って来る参詣者は自分以外にはいない。2年前に免許証を自主返納したが、巡礼の事を考えたら、返納は早すぎた。今は車が無いと殆ど用をなさない世の中になっている。その駐車場の直ぐ前に大きな立派な山門が建っていた。いよいよ境内だ。
手摺を頼りに登って来て、漸く寺の山門が見えて来た。

最初の山門を潜った先が境内で、更に登りが続く。

本堂はまだ先だ。

ああ、高台からの京都の見晴らしも中々よい。前方の尖った山は鞍馬山辺りか・・。
