宝厳寺境内の手前には急な石段が待っている。
ここを登らなければ参拝は出来ない。頑張るしかない。
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何回か立ち休みし、漸く石段上にやってきた。
それ程広くない境内の先、左側に本堂が見える。
フェリーを降りて、桟橋を進むと正面に第三十番霊場「宝厳寺」の急な石段が見える。その石段の上にお寺があるのだが、下からは本堂の屋根も見えない。それ程急な石段の角度なのだ。その石段までの凡そ100mの参道の両側には6-7軒の土産店、休憩所などが密集している。その石段の直ぐ右横に事務所があって、入山料が徴収される。自動販売機もあって、500円コインで買うことができた。この島へ渡ってくる人は、足の悪いほんの数人を除いては、ほぼ100%の人がお寺に参拝に行くのだから、フェリー乗り場で乗船券を売る際に一緒に入山料も徴収してもらえれば、参拝客に取っては好都合なのだが、別個に販売しているというのは、何かの利権とか、就業人員への配慮とか、いろいろ表に出てこない複雑な理由でもあるのだろう。
一昨年参拝した和歌山の紀三井寺も長い石段があって、往復に往生したが、後で石段の後ろに参詣者用のエレベーターがあることが分かった。又去年参拝した宝塚の中山観音寺も長い階段があったが、エレベーターが設置されていて、大いに助かった。この宝厳寺も入山料を取る位なら、足の悪いお年寄りにそれ位の設備を備えても良さそうにと思ったが、いろいろ財政の事情もあるのだろう。
石段の下から上を見上げるとため息しか出てこない。すんでの処で参拝は諦めようかと思ったが、折角ここまで来て御朱印を頂けないとは情けない。石段は見た処江戸時代以前の古い造りで段差もかなり高い。が、両側に手摺も付いていて、見ているとその手摺を頼りに登っている人もいる。・・どこまで行けるか頑張って見るか・・。途中何回も休み休み登ったら、漸く石段上の境内に登りきることができた。次のフェリーまでには1時間の猶予しかない。万一それを逃すと次のフェリーまで2時間程待たなければならない。もう既に20分は経っている。残り40分だ。
境内はそれ程広くはなく平坦で、本堂までの距離は100mもない。石段を登るのにかなり時間を取られたが、ここは平地だ。少し早目に、脇目も振らず本堂に向かい、参拝する。西国観音霊場第三十番「宝厳寺」。古いお寺で聖武天皇の勅願により行基菩薩が建立した。奈良に東大寺大仏殿が建立された頃と同時期だ。ご本尊は大弁財天と千手千眼観世音菩薩。ここの弁財天は日本三大弁財天の一つだ。江の島の弁天と厳島の弁天さん、それにここ竹生島が三大弁財天となっている。弁天は楽器を手にしたミューズ神ではあるが、海の向こうから宝物をもたらす神様と崇められてきた。伊豆の田舎は港町であるが、弁天丸という船名の遠洋漁業の船もあった。
本堂の中に御朱印所があって、無事に御朱印を頂き、下りはその急な石段ではなく、迂回路があって、途中に秀吉豊国廟から移築された国宝の唐門を眺め、そこから眼下の琵琶湖を眺め、ほぼ次のフェリー出航の5分程前に桟橋に着くことができた。ここも又思い出の霊場となった。
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この本堂は戦前の改築だが、中に三大弁財天の一つ、大弁財天が祀られている。
そこから眺める琵琶湖の海。 フェリー乗り場には出航の漸く5分前に戻って来れた。