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北国街道もこの辺りは人も多い。
ああ、これが山さんが言っていた黒壁ガラス館だ。
黒壁五号館。昔からあるような土産店だ。
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黒壁通りを少し歩いてみよう。
古くからの知人に山さんがいるが、彼の親戚に長浜在住の人がいて、何年か前、その葬儀に長浜までやってきた。今度自分が竹生島の巡礼の帰りに長浜に寄ることを伝えたら、黒壁ガラス館へ是非行ったらよい。町の中心にあって、駅からも近い場所にある。それと、機会があったら鮒ずしを食べたらよいと。20数年前法事で訪ねた長浜のことを昨日のことのように思い出し、話していた。
JR北陸本線の北側を並行するように走る北国街道を進んで行くと、古い町並みの中に人影が増えてきて、観光客の動きも多くなってきた。この街道の突き当りに黒壁スクウエアがあるのだ。山さんの言っていたガラス館は交差点の正面にある。数方向からの写真を撮って、帰京後には山さんに見せてやろう。彼もきっと喜ぶに違いない。
この交差点が町の最大の観光スポットなのだろう。沢山の観光客がそぞろ歩き、幾つかある観光建物を出入りしている。京大阪、名古屋辺りからは1時間程度で来れる町だから、そうした日帰り客も多いのだろう。コロナが終焉し、人々は自由に観光地に出向き、マスクも無しに密の状態も意に介しない。その交差点の正面にあるのがガラス館。江戸末期、明治初め頃のこの町は先進文化都市で、色々な洋風を取り入れて来た。そうした明治期の洋風建物が銀行支店だったり、物産会社だ。今はレトロな建物として、観光客の目を惹いている。
ガラス館に入り、ガラスの工芸品を眺め、その隣のオルゴール館に入り、昔風のオルゴールに混じってレイザー光線の出るオルゴールがあったので、少し値が張るが孫にお土産に買う。その前の通りが旧北国街道の目抜き通り。古い黒塗りの建物が当時の繁栄を偲ばせる。店御、旅籠、魚や、貸金などの店が並んでいたのだろう。少し先まで歩き、踵を返し元の交差点に戻る。そこを右に曲がって進めばJR長浜駅。その反対方向には大きなアーケード街が見える。大通寺、八幡宮に通じる門前町の名残だ。丁度名古屋の大須観音の手前のアーケード街のようだ。そこまで行っても何も買うものはない。そのまま駅に向かった。