後2週間で正月を迎える年末、有名人、身近な人の死、不遇な画家の死が報じられる。先週会社の同僚、佐野さんが肺がんが転移し、還らぬ人となった。74歳。急変する1週間程前まで仕事をし、体調悪化で休職した数日後に急死した。本人も家族も予測できない死だった。
先週は又アナウンサーの小倉智昭さんも亡くなった。佐野さん同様、亡くなる直前まで殆ど普通の生活をし、死の数日前、容体が急変し、還らぬ人となった。77歳。今日は又フジテレビで特集が組まれていた。目覚ましエイト、22年間MD,アナウンサーを務めていた。最後は膀胱がんの全身転移で亡くなったが、良い人生だった。10歳若い笠井アナは小倉さんよりも先に癌になったが、現在は回復し、現場に復帰している。複雑な気持ちだろう。
亡くなる数日前、夢枕に父親が現れて、一緒に行こうと、と誘われたが、本人はまだやり残すことがある、一緒には行けない、と断ったら、父親だけが小川を渡り、先の花園に来ていったという。本当の臨死体験だ。父親のこうした導きがあれば、死出の旅も怖くはないだろう。
同じフジのドキュメンタリーで2週連続で、長野松代の画家、落合皎児さんを放映していた。皎児さんは去年住んでいた自宅が火災で焼けて、本人も逃げ遅れて焼死したが、息子の落合リフレさんが、その残された絵画、生前の足跡を辿るドキュメンタリーだった。
20歳でスペインに渡り、美人の奥さん、茂子さんと結婚し、リフレさんがバルセロナで生まれたが、その後日本に帰国し、両親は離婚。皎児さんは実家のある松代に住んだが、家族はバラバラ。経済的にも苦しんだ。弟が20歳で自殺し、母親も都内のアパートで孤独死。発見も遅れた。60歳。
落合皎児さんは現代スペインの画家150人にも選ばれたほどの描き手だったが、帰国後は見いだされることもなく、不遇な余生を過ごしていた。絵自体は現代的な抽象画で、イメージを膨らませるものがあった。足腰が弱く、火災の際も起き上がって、逃げ出すこともできなかったようだ。別棟のアトリエに膨大は数の絵画がも越されていたが、本人には約2000万円の借金があるという。享年76歳。
借金を返し、その絵を相続するか、或いは最初から相続放棄するか、悩ましい選択を迫れているリフレさん。才能に恵まれたものでも、ほんのちょっとしたきっかけ、チャンスを取り逃がすと、こうした貧乏画家に落ち得る典型だ。しかしこれだけの財産、どこか資金豊富な財団が乗り出して、2000万円の一括返済をし、どこかに美術館でも建ててくれたら、彼も黄泉で喜ぶだろう。彼の才能を最後は救済してもらいたい。