日本学術会議法案が衆院を通過し、今現在参院で審議されている。新法案がどういった内容か自分は詳しくは知らないが、自公は参院では多数与党だから、ことなく通過し、成立となるだろう。6年前、菅内閣時代に6人の新会員候補が拒否され、会員に任命されずに現在に至っているが、この任命、非任命の問題を横に置いての新法案だ。時の内閣が出した決定を自公後継内閣が変更するのは無理があり、内閣が野党に変わらない限り、非任命の変更はないだろう。
5年置きに任命されてきた従来の制度は、会議側から提出された会員名簿を内閣は裏でどんな折衝があったかは知らず、表向きにはそのままストレートに判子を押して任命してきた。処が6年前の更新時、菅は突然に6人の任命を拒否したのだから、驚天動地、世論が沸騰した。非任命の6人は、論文などで国家に対する友好的な立場ではなかったという事のようだが、表向き、会員は準公務員の扱いだから、内閣に任命権があるのは法に従った当然の判断だと、菅は開き直った。6人の中には東大女性教授で歴史学者の加藤陽子さんもいて、現役学会員始め、多くの学者からも強い反発が起きた。学問の自由、教育研究は政府から差配されるのではなく、自由な環境の中で進められるべきだと。内閣と会議は平行線のまま今日に至り、今回内閣は改正法案を提出することになった。
学術会議の前身は戦前からあり、確か京大の仁科教授なども学会員だったと思うが、日本人の頭脳は、軍備増強に資するべきだとする軍国日本の旗振りの元、多くの知識人が駆り立てられた。そうした戦前の戦争協力への反省から戦後スタートした新生学術会議は戦争目的を一切排除した研究分野に限り、今日に至っている。戦後80年、学術会議は政府からの干渉を受けない聖域、侵されざるサンクチュアリーであり続けた。今回改正法が成立するが、学会員のこの認識は法律変更に拘わらず、この先長らく保たれるだろう。
ナイーブな日本人。前門の虎後門の狼、周辺に如何な野蛮国、侵略国がいようが、それを見ないことにして、永久戦争放棄の憲法9条を後生大事に持ち続け、不磨の大典の如くその変更は一指も触れさせない。憲法改正は法律上改正可能だが、そのハードルは極めて高く、現状程度の国際情勢、政治状況ではその変更は殆ど無理と言えるだろう。学術会議の内実も憲法9条と似ている。国民も学会員も長い間持ち続けて来た概念を墨守することに価値ありとし、少しの変更も許さない。自分はそれを日本人の精神に巣くうお公家文化の一形態と見る。お茶や華道、歌舞伎能楽、剣道相撲、あらゆる伝統文化、芸能文武に根付いている。古きもの、長きものが尊し、という思想である。
伝統は大事であり、それなりに価値がある。であるからないがしろにはできない。しかし余りにも時代にマッチしない、カビの生えたような伝統はスポイルされるべきだ。憲法にしても学術会議にしても、変えられないものなら、それをそのまま残し、それとは別の形で現在にマッチする形を作らなければならない。憲法9条の永久戦争放棄から、自衛権は憲法を越える国固有の権利であるとして、国防の軍隊を持つことを法律上容認し、外国との同盟、外国への武器輸出、自衛だけではなく外国への先制攻撃なども法律上許されることとなった。人はそれを解釈憲法と呼ぶ人もいるが、憲法9条が変えられない以上、そうした憲法を解釈することによって、自衛を強化して行かなければならない。
学術会議も同じだ。日本を強固にするために、産官学の連携が不可欠で、日本学術会議がそれにそぐわない組織なら、第2学術会議なるものを作り、従前の会議への政府予算は絞り、新たな産官学の組織を大々的に支援して行かなければならない。今日のニュースで総理は筑波にある量子コンピュータの新たな研究施設を訪問したが、正にこうした学際機関を援助しなければならない。日本が世界で生き延びていく機関部門になるのだ。この施設の予算が700億円程で、これが多いか少ないかは自分には判断できないが、あらゆる場面で産官学軍の連携を強化し、周辺の脅威に打ち勝つ強靭日本を作っていかなければならない。
中日8日目の今日、大の里堂々の押し切り。8勝〇敗は単独筆頭だ。今場所は前場所以上に強さが際立っている。横綱への一本道、まっしぐらに進んでいる。
沼津市牛臥は駿河湾に面した沼津の東地区にあり、沼津御用邸に近い町だ。その名前の通り、牛が伏せたようななだらか低い山が横たわり、牛臥という地名になった。今は亡くなったご主人がラーメン店を経営し、住民からは人気の店だった。何年か前に主人をガンで亡くし、店も閉じたが、林芙美子さんではない、美智子さん、明るく朗らかだ。人の生き方だ。