ドイツのGDPが去年日本を抜いて世界3位に躍り出た。20年前、中国に2位の座を抜かれるまで日本は米国の次を走っていた。30数年前、日本がドイツを抜いて以来づっと世界2位にいた。その世界2位の日本が中国に抜かれ3位になったのは、日本人に取ってはかなりの衝撃だった。日本経済停滞の30年、米国中国は毎年経済を拡大して行き、差はどんどん広がって行った。
その間、ヒタヒタと後ろを走って来たドイツは去年遂に日本を抜いた。50年前に抜いたドイツに追い抜かれ、逆転されたのだ。人口が日本の10倍程もいる中国が日本を追い抜くのは時間の問題と思われていたが、人口が日本の三分の2しかないドイツに抜かれたのは、この間、如何に日本経済が低迷していたかを物語るものだった。
先月は又対外純資産額がドイツに抜かれ、34年間保ってきた世界一の地位から落ち、世界2位に甘んじることになった。日本の対外資産は500兆円強。毎年増やしてきたが、ドイツは日本以上に増やしたのだ。尤も、円とユーロの対ドル為替レートの違いによって、円安でのドルレートで目減りしているとの指摘もあるが、それでも34年間保ってきた世界一金持ち国の座から滑り落ちたのだ。とうとう昨日はインドのモデイにまで3年後にはGDPで日本を追い抜く、とまで言われた。Rising Sunの国は、いつの間にかSinking Sunの国になってしまった。
先月難産の末に誕生したドイツ首相メルツはバカ高い背の高い男であるが、Rising Sunをバックに勇気ある発言をしている。先ずはウクライナへの長距離ミサイルの供与であり、500キロを越えるタウルスの発射許可を出した。500キロはモスクワの手前まで届く距離だ。今日は又ゼレンスキーがベルリンを訪問し、ドイツとの共同で長距離ミサイルの共同開発、共同製造を協定した。ドイツが本格的にこの戦争に関与する意思を示したのだ。ロシアに取っては大きな脅威になるだろう。
今までドイツはユダヤ人ホロコーストの贖罪があって、イスラエルには全く強い事を言って来なかったが、昨日は戦後初めてイスラエルを非難した。ガザに於ける余りにも酷いイスラエル軍の残虐行為に遂に非難発言をしたのだ。日本が長らく世界第2位の大国にありながら、対外的には殆ど何も発言して来なかった大人し国と違って、ここ数日のドイツの晴れ晴れしい発言に目を瞠る。大国としての振る舞いだ。ドイツの勇気を称えたい。
第50回菊田一夫演劇賞に伊東四朗、長澤まさみが選ばれた。芸歴67年、当年87歳の伊東四朗、喜び一入だった。若い頃はてんぷくトリオで活躍し、当時の多くの仲間が鬼籍に入って行った中、彼はいつまでも元気でお茶の間の喜劇役者だ。菊田賞をもらって冥利に尽きるだろう。