ちゃおチャオブログ

日々の連続

10.14(火・曇)ガザの悲劇は終わらない。

 

 

昨日ハマスに捉われていた人質20人が引き渡された。当初47人と報じられていたので、昨日は第一弾の20人で、続いて残りの27人が引き渡されるかと思っていたが、そうではなかった。残り27人は遺体で、この遺体を合計して47人とのことだった。新聞の情報が不十分だったのか、翻訳を間違えていたのか、いずれにしても生存者と死者の合計が47人とのことだった。

 

2年前、ハマス武装勢力は突然にイスラエルの国境線を破り、侵入。音楽祭に集まっていた多数のイスラエル人を殺害し、250人以上の市民をガザに連れ去った。怒り心頭のイスラエル。世界最強の諜報機関と言われたモサドも全く予知し得ず、形無しだった。

 

イスラエルは報復と人質奪還の攻撃を即開始した。力の差は歴然としている。イスラエル軍は赤子の手を捻る様に進撃し、ガザの各地を瓦礫の山にした。この間第三国や赤十字の仲介も行われ、人質になった数十人と、イスラエルに捉われているハマス戦闘員との交換が行われたが、この2年の間に人質の多くは餓死したり、戦闘に巻き込まれ死亡した。早い段階で、タイ政府の努力により、タイ人季節労働者10数人が釈放されたのはラッキーだった。人質の犠牲よりももっと多くの犠牲者はガザの市民で、イスラエル空爆により、7万人以上、10万人近くの市民が殺され、その多くは幼児や子供たちが占めていた。

 

人質奪還の名目があったとは言え、やり過ぎで、過剰な攻撃だった。イスラエルハマスを全滅させるとして、隣国のレバノンを攻撃したり、イラン本土の核施設すら攻撃し、友好国のカタールまで空爆した。これで良くぞ中東戦争が勃発しなかったものと、世界の指導者は胸をなでおろした。中東戦争が勃発すれば、原油に頼る日本など、木っ端みじんに吹き飛んでしまう。戦争をしてはならない、又は戦争の出来る状態でないイランの自制心があったればこその戦争回避だった。

 

今回明らかなになったのは、救出された人質は僅かに20人。ハマスはこれ以上戦争を継続すれば、肝心要の人質を全て殺すことになり、虎の子を失ったハマスとすれば、取引材料も無くなり、そのままイスラエルに掃討されるのを待つしかない状況に追い込まれる。20人が最低限の取引材料で、取引する事によって、捕虜の2000人以上が釈放され、且つ、ハマス本体もこれ以上攻撃されないで済む、そうした判断があったからだろう。停戦合意はトランプの力でもなく、周囲の働きかけでもなく、ハマス自身が生き延びる手段だった。

 

ガザの人口200万が10万人減少し、痛い目にも遭った。しかし彼等は逞しい。今5歳の子供は10年後には15歳。今10歳の子供は二十歳になっている。イスラエルに対する憎しみは消えるものでは無い。子供が10年15年後には青年となり、そうした憎悪に燃えた青年の何人かは第2第3のハマスとなって、イスラエルに立ち向かう。この憎み合う民族がこの地に背中合わせに生活する限り、殺し合いが繰り広げられる。今日の平和はほんの一瞬の瞬間的な平和に過ぎない。