
誰が最初に言い出したのか、野球は筋書きのないドラマだ。確かに今日のWSドジャーズ・ブルージェイズ戦を見ていると、球場の観客、テレビの視聴者はそう思っただろう。録画ではなく、リアルタイム、時々刻々、ワンゲーム、ワンシーン毎の先が予測不能のリアルの変化に、応援もし、落胆もし、希望を繋いだ。
今日のWS最終戦。9回表まで、大半の観客はカナダ・トロントの勝利を確信していただろう。8回にホームランで1点差に迫られたが、9回表、1死、塁上には誰もいない。後二人仕留めれば32年ぶりのカナダ優勝となる。反米感情の髙い東部オンタリオ州。米軍ドジャーズを破ることにより、大きなうっぷん晴らしとなる。後二人でその勝利は得られる。球場は1球毎に大声援で湧いていた。
が、ドラマには筋書きが無い。誰がこの時打撃不振のソロスがホームランを飛ばし同点にするかと。球場は途端に無音に沈んだ。同点ホーマーだ。しかし9回裏がある。気を取り直し、裏を待った。その裏、先頭打者が出て、1死1-3塁。ドジャースに取っては絶体絶命の大ピンチ。ゴロでも外野フライでも3塁走者がホームを踏めば、歓喜の渦だ。そこへ山本の登場。昨日に続いての連投だ。疲れも何もない、ドジャーズ最後の砦だ。1点取られたらお終い。もう後はない。
しかし山本、ロバーツ監督、日米両国民の祈りの願いを背に、絶対のピンチを凌ぎ延長戦へ。カナダ国民の落胆は如何ばかりか・・。10回は両軍無得点、11回、ド軍キャッチャーのスミスがソロホーマー。この最後の戦いでド軍初めて1点リードする。その裏をゼロで抑えればド軍の優勝。山本正にその期待に答え、最後の打者を2塁併殺で抑えてゲームセット。その直後に勝ち越しホーマーを打ったばかりのキャッチャースミスが真っ先にマウンドに駆けあがり、後ろから山本を抱え上げ、天に向かって高々と持ち上げる。筋書きのないドラマの感動の瞬間だった。この結果を誰が予想したか。誰も予想しえないド軍歓喜の瞬間だった。
自分は11時前に孫達と一緒に市内の銚子丸へ行き、マグロの解体ショーで捌かれた新鮮鮪の寿司を食べていたが、戻って来た時が1時、野球はエンドではなくまだ続いていた。9回裏、山本が登板する処だった。行く直前には大谷が3点ホーマーを打たれ、降板した直後で、この勢いでは今日はダメだろう、と半分諦めの気持ちで家を出たが、戻った時には、まだ試合が続いていた。これはひょっとする前回LAでの18回延長線を制した試合の再来になるかも、と期待を持ってテレビ観戦した。それがこの延長11回の劇的結末だ。
日本国中が湧き、あのトラさんまで大興奮。カナダ嫌いでアメリカファースト。トロフィーがカナダに運ばれたら、又つむじを曲げて、やけくそ関税をカナダと日本に掛けたかも知れない。今回のド軍勝利は日本人3選手の大活躍でもたらされたものだ。トラさん、ド軍選手をホワイトハウスに呼んで祝福するという。それだけでは足らんでしょう、トラさん。日本人の大活躍で喜ばしてやったのだから、日本に掛けた関税も引き下げるのが筋だ。気前の良いトラさん、それ位はやってくれなくちゃ。
