
赤坂の高級サウナ店で若い夫婦二人が焼死した。通常は考えられない事故であるが、不運が重なって人生前半での旅立ちとなった。個人専用の個室サウナで利用料は分からないが、相当に高い料金だろう。36歳の夫と37歳の妻。昼間からこうしたサウナを利用できるセレブに違いない。
不運の一つは、汗を拭うタオルが高温で熱せられ、引火したことだ。タオルに火が付くことは凡そ考えられないが、熱風を煽る為にサウナ石の上ではたいて引火したのかも知れない。熱風だけでは引火しないから、直接石の上に置いたのかも知れない。
次にドアノブが壊れて、外に出られなくなったことだ。お粗末な構造と言える。ドアノブが使えなければ、体当たりでもしてドアを破れなかったか・・。この二人の危険に対する認識がやや甘かったか・・
最後は非常ベルの電源が切られていて、肝心の火災警報が警備室に伝えられないことだった。警報装置の重要性を全く認識していない経営者は、資格なしだ。
通常は考えられない3つの重大インシデントが偶々重なって、命を落とすことになった。どれか一つでも正常であったら、命を落とすこともなかったのだが、それがこの二人に与えられた運命だったのかも知れない。海外のことはイザ知らず、国内でのこのような死亡事故が初めてだろう。火災事故など起こりえないと高を括っていた経営者。閉じ込められても、死ぬことは無いだろうと楽観していた利用者夫婦、運命に魅せられたとしか言いようがない。
そもそもサウナ室を施錠するロック機能が必要だったのか。中に人がいて、不意に第三者が入って来ることなど凡そ考えれらないし、悪意のない闖入者は間違いに気づき、直ぐにドアの外に出るだろう。ドアノブの不具合や非常ベルの不作動は二の次の問題だ。この個室に不必要なロック機能があったことが最大の問題で、この機能さえなければ、二人は直ぐにも個室から抜け出ることが出来た筈だ。今回の死亡事故は基本的な安全思考の欠如によるもので、ドアが施錠できる構造になっていたことが、最大の原因である。
