
過去30年日本は経済成長ゼロで、物価も上がらない代わりに物価も下がらなかった。フランシスフクヤマの言う、歴史の終わりを30年間続けて来たのだ。30年前の中国GDPは日本の4分の一程だったが、毎年6%を越える成長率で、あっという間に日本と肩を並べ、10数年前に日本を追い抜いてからは、今では日本の3倍の経済規模の大国になった。30年前の日本は米国の8割程の経済大国であったが、米国ですら中国程でないとしても毎年3%を越える成長率で、今や日本の4倍、5倍の規模になっている。
30年前にはもう直ぐ米国と肩を並べ、米国を追い越して世界一の経済大国になると夢見た経済人、財界人も多かっただろう。今や、逆立ちしても追いつけない、落ちこぼれの日本になっていた。安倍がアベノミクスと騒いでも誰も反応せず、子飼いの黒田がバズーカ砲をぶっ放すと叫んでも、明後日の方向にキャノン玉が飛んで行って、却って日本経済を苦しめた。安倍は退任直後に暗殺されたが、まだノウノウと生きている黒田は、この失政の弁明もないし、反省の弁も無い。
30年前、この長期低落の道を開いたのが3Mの面々で、宮沢、三重野、武藤の3人だが、まだ生きている武藤は、大蔵を辞めた後も巧妙に社会を泳ぎ、つい最近の秋の叙勲では日本国政府から最高の勲章を授与された。
誰かがこの腐った日本を変えてくれるかと密かに待ち望んでいたが、誰でもない、時が解決してくれた。安倍の後、総理が何人か代わり、最後までしぶとく居残っていた黒田が日銀から追い出され、学者出身の植田が総裁になって、最初に手を付けたのは黒田の負の遺産、マイナス金利の解除で、続いて、ほんのわずかな金利の導入。雀の涙のような微々たるものだが政策金利をプラスに誘導した。株式市場では今まで死に体だった銀行株価が漸く息を吹き返し、市場が湧いて、6月、東証初の5万円を突破し、その後も順調に株価指数を挙げている。経済に好循環がやってきたのだ。
昨日今日の二日間、日銀は政策会合を開き、今日午後、政策金利を0.25%上げ、0.75%にした。本来金利を上げるのは円高要因になり、円の価値が高まって、対ドル円レートは円高になるのが常套だが、今回はそうはならなかった。植田総裁の事前のブリーフィングが効いていて、今日の利上げは前々から分かっていたことで、市場には驚きは伝わらず、昼過ぎ、総裁の記者会見で発表後はむしろ円安が亢進した。円の巻き戻しは起こらなかったのだ。
30年が長いか身近いか、今世紀の今みれば相当に長い時間帯だが、来世紀、22世紀が前世紀の今日を見れば、多分僅かな期間だろう。30年の時を経て、日本が漸く正常な国に戻って来た。今世紀に入ってからの日本、他の国はそれなりの経済成長を遂げたが、日本一人置いてけぼりを食って、取り残された。だからと言って、犯罪が増加するでもなく、自殺者が増えた訳でもない。セーフティーネットはそこそこに整備され、経済成長が止まったからと言って、人々が明日から直ぐにも困る状況にはなかった。正にフクヤマの歴史の終わりを生きていた。
今日の植田総裁発表後、日本国債が売られ、金利が急騰した。一時3%を付けた。国債の金利が恒常的に上がって行けば、長期金利もそれに従って上がって行く。市中銀行では長期預金には既に2%を越える利率を付けている。これから銀行金利も上がって来て、住宅ローン等お金を借りている人は以前より高い利息を払う事になるが、お金を持っている人は預金の利息が増えて、喜ばしい。日本人平均ではお金を借りている人より、預金をしている人の方が多い。相対的には金利が上がって喜ぶ人の方が多いのだ。これから金利の付く時代になって、経済も社会も正常化の道へ進んで行く。物事は時が解決してくれた。
