ちゃおチャオブログ

日々の連続

秩父の半日。「武甲山」と石橋さんの思い出。

秩父の町中から武甲山の雄姿が眺められた。
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武甲山、一名、武士の甲(かぶと)とも言われているが、武州甲州の間にある山。
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秩父三十三霊場少林寺
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秩父事件で犠牲になった青木余市警部補のお墓も建っている。
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当時の山県内務卿の記念碑。
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秩父の名山「武甲山」に登ったのはいつになるだろうか。100名山を登り始めた早い頃で、石橋さんもまだ元気な頃だったから、もう10年以上も前になるだろう。先々週秩父へ来た時は生憎の小雨模様で、武甲山も中腹から上は雲に隠れていたが、今日の武甲山秩父の町中からその武ばった雄姿を見せている。
 
朝、東京地方での137年振りの金環日食を見、壮大な宇宙の不思議を眺め、感動し、何枚もの写真に収めたが、その天体ショーを見終えてから、今日は又、先々週の延長で当地にやってきた。所要は僅かな時間で狩猟し、駅に向かって歩いている途中、ふと見上げると正面にこの武甲山が間近に迫っていた。
 
10数年前、秩父の一つ手前、横瀬で下りて、当時の秩父セメントの誇りっぽい田舎道を登山口まで歩き、1時間近くも山沿いの村道を歩いて漸く緑濃い渓谷に出て、山頂に向かった。石灰の採掘で遠くから見ると無残な姿に見えたこの山も今、緑に覆われた山道を登っていると、全くそうした傷跡は感じさせられなかった。しかし緑の林の先から時々響く発破の音や、大きなキャタビラー様の機械音が聞こえてくると、矢張りこの山は今もなお、人間により痛めつけられていることを思った。
 
山頂に小さな祠があり、その裏に回ると、山肌が大きく削られ、ほぼ垂直に落下していた。遥か下の方で、何台かのシャベルカーが繰り返し岩肌を削っているのが音のない無声映画のように見えていた。
その数年後石橋さんが癌で亡くなり、秩父やその手前の正丸、芦ヶ久保吾野辺の山に来ることも無くなり、2週間前秩父へ来たのは全く久しぶりのことだった。今日こうして金環日食の日、改めて武甲山を仰ぎ見る。何かの因縁かも知れない。
 
秩父へ来る前、石橋さんの住んでいた武蔵藤沢を通り過ぎる。一瞬の間で彼が住んでいたマンションがどの辺りかは電車の中からは確かめられなかったが、生前の元気な頃、一度だけマンション前を車で通り、寄って行くかと言われたが、時間も遅く、山登りの後で疲れもあって、遠慮したが、あれがマンションだよ、指差した先に4階建ての真っ白なマンションが建っていた。
 
石橋さんの経済事情がそんな苦しかったとは彼の口からは一言も聞かなかったが、死後奥さんから相続放棄の相談をされ、然るべき弁護士を紹介してやったが、後で聞くとこのマンションも処分し、今は親子3人で別の町に引っ越して住んでいるという。奥さんの出身はどこかは聞いていないが、彼は秋田・横手の出身で、雪が好きで、秩父地方の春先の雪山を好んで歩いていた。あの、元気な笑い声、屈託の無さ、或いはずぼらないい加減さ、「ふくろ」で何回飲んだだろうか・・、武甲山から語りかけてくるようだった。
 
武甲山を眺めつつ駅に向かうと、途中に秩父三十三霊場の一つ少林寺がある。ここの少林寺と中国洛陽の少林寺とは関係ないと思うが、このお寺には秩父事件で犠牲になった警察官が祀られている。当時の内務卿、山県有朋が当地に来、慰霊を行っている。明治政府にとってはそれだけ衝撃的な事件だったのだろう。
 
この直ぐ近くに秩父神社もあり、参詣に行く。以前石橋さんと来た時は、車の中から遥拝しただけだったが、今日は一人。境内に入り、参拝する。正殿正面の庇には左甚五郎の彫刻が掲げられている。この神社は江戸開府以前に甲州武田により焼き討ちになり、江戸開府以降家康により再建されたものだが、その時、東照宮同様に、甚五郎に彫らせたようだ。
日本を代表する彫刻師。当時の江戸には豹などはいなかったと思うが、その豹の親子像を見事に彫りあげている。流石と言うべきか。
秩父神社を参詣し、駅まで戻ると、駅前にタイレス「バンコク」がある。ウーン、残念時間が早すぎる。時間はまだ4時。夕方までどこかで時間を潰し店が開くのを待つ程の酔狂はない。この店に寄るのは又別の機会にし、秩父を後にした。
 
 
 
 
 
 秩父の家並を通しての武甲山
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 官幣小社秩父神社。柞(ははそ)の森に建っている。
 
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秩父地方の鎮守も今日は静かだ。
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本殿の彫刻品。
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左甚五郎の見事な豹の親子像が掲げられていた。
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