ちゃおチャオブログ

日々の連続

仲秋の名月と月下美人。

 
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盛唐の時代、遣唐使として長安に渡った安倍仲麻呂は、唐朝廷で官吏として重用され、玄宗皇帝のこよなき親愛を受け、日本への帰国もままならなかった。
 
そうした仲麻呂が秋の中日、月を見て想うのは故郷の三輪山であり、海内千里離れた大和のまほろば、今、同じこの満月をそこここに眺めている、との故郷への強い想いであった。
 
                  「仲秋の名月」。
 
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陰暦8月15日の満月の夜、月が1年で最も澄んだ姿を中空に浮かべるこの夜、古来より人々は月に酔いしれた。
 
1年に1度、この夜の月を愛でる風習はいつの頃からか風習として定着してきたかは知らない。遠い昔、まだ文字もない頃からの月の物語。親から子に、子から孫に伝わって行ったに違いない。
 
1200年前の今日、仲麻呂はこの満月を眺め涙した。望郷の想いは心を溶かすものだったが、しかし、その想いを歌に替え、漢詩に換えて今に残されている。
 
 
「ワイングラス 月を浮かべて 故蘇の秋」
 
「ベランダに 待ちし今宵の 秋の月」
 
 
 
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            満月の夜花開く「月下美人」。
 
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仲秋の名月の今日、真っ白な大輪が花開く。明け方、月が朝日に霞む頃、花は閉じられる。月の光に輝く美人。薄命なるか。
 
強い南国の薫は月に向かって放たれ、恰も二人は結ばれる。意志のあるがごとくに。
 
月下美人」が日本にもたらされたのはそんなに古くはない筈だ。しかしもう既に「仲秋の名月」と伴にあるRegentとなっている。良い取り合わせだ。
 
           「月下美人 香りを胸に 夜道かな」
 
 
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