ロープウェイ麓駅からは建設当時東洋一とうたわれた支柱も見える。
さて、ロープウェイに乗って、第二十一番太龍寺に向かう。
那賀川の清流が真下に見える。
これから向かう霊場第二十一番太龍寺は今下り降りてきた鶴林寺よりも更に山奥に位置しているお寺で、寺までの取り付け道路もないのだろ、ロープウェイに乗って行くことになる。麓駅から山頂駅までの標高差約400m、全長約2800m、標高500m程にある本堂直下まで約10分で運んでくれる。最大100人の乗客を運び、ガイドが一人周辺案内のアナウンスをしてくれる。観光バスでいう処のウグイス嬢だ。尤も最近のウグイス嬢は選挙カーの上で美声を連呼している美人嬢を指しているようだが・・。
麓駅の売店で次のロープウェイを待っていると程なくやってきて、乗車する。片道1300円、八甲田山や木曽駒ケ岳でロープウェイに乗ったこともあるが、大きさも料金も大体同じ位で、西日本では最大級のロープウェイだ。30年ほど前に建設された当時は、真ん中の支柱は東洋一の高さであったと、添乗員の森さんに教えて貰ったが、成程、麓駅から見上げても、山の頂に立っている支柱は大きく堂々としていた。ゴンドラはその支柱に向かってズンズン高度を上げていく。
真下に那賀川が大きく蛇行しているのが見え、その川を囲むようにして那賀町の広がりが見えている。実際、こんな山間部の閉ざされた中にこんな大きな町が存在しているとは来てみなければ分からないことだ。ケーブルの上からは正にパノラマ図鑑の俯瞰図のようにも見える。四万十と同じようにこの川も水清く、何年か前の国体では、この上流でカヤック競技も行われたとは、ガイド嬢の説明だ。床の一部が簀の子の格子状になっていて、足元の眼下が垂直に丸見えだ。風も下からスース―入ってくる。皆面白そうに、順番に足元100m程の真下を眺める。勿論、高所恐怖症の人は椅子に座ったままなのだが。
ガタン、ゴトンと最大支柱を越えると、峰の反対側に出て、今度は太龍寺方面の山や峰が見えるようになる。遥か遠くに先刻の鶴林寺の峰も見え、更にその先には剣山に連なる山並みも見えてくる。実に山の深い、緑の濃い山容だ。日本の美しさはこんな所にもある。
床の一部が簀の子状に開けられていて、真下の景色も見ることができる。
さて、東洋一の支柱が近づいてきた。
支柱を越えるともう太龍寺側だ。下ってくるゴンドラと間もなく交差する。
果てしない森が広がっている。