しかししぶとい男だ。40年前、NYで若手不動産業として頭角を現したが折からの不動産不況で、当時のRasing Sun、Japan MoneyでNYの土地は買いたたかれ、彼は無一文になってNYを逃げだし、Atlantic Cityのカジノ事業で辛うじて命脈を保ち、いつの間にか資産を蓄え、再びNYに乗り出し、今度は日本がバブルの崩壊で、今まで買い占めたNYの土地を手放し、日本に逃げ帰るしかしかった。三菱不動産始め、大手不動産会社は、NYに手を出して大やけどを負った。当時、東京の土地価格と全米の土地とが同価値とまで言われた。正にRasing Sunの勢いがあった。
一文無しになった彼が、どこでどんな風にお金を作ったのかは知らないが、NYに戻ってからいつの間にか再び不動産王にのし上がり、NY5番街に近い場所に超高層タワーマンションを所有するに至り、更にはフロリダの別荘地にゴルフ場付の広大な土地と豪華なリゾートマンションを所有するに至った。一見、成功譚のようにも思えるが、彼は幾つもの訴訟を抱え、且つ、女性にはだらしない。
昨日の米大統領選で当選復活したトランプは、正に同様しぶとい男だ。78歳になった今も大統領職に執着し、嘗て再選に失敗した大統領が更に3度目に挑戦したのは、130年前のクリーブランド以来のことで、そのしぶとさが功を奏した。昨日の結果を予想外と見るか、当然の結果と見るのかは、見る人の見方によって異なるが、敗れたカマラ本人はこうした結果に終わるとは、本人自身夢想だにしていなかっただろう。加州検事総長までやり、副大統領職に就いていても、周りが見えない女だった。
そう昨日の結果はMAGAに敗れたのだ。アメリカファースト。アメリカ第一主義と言えば言葉は綺麗だが、その実はアメリカ一国の利己主義国家。アメリカ国家主義者、アメリカ国粋主義者の集団、MAGAが中心になって、更にコチコチの利己主義者トランプを選んだのだ。皆が言うように、今の共和党はトランプ党。MAGA党だ。全国民の数%、1割にも満たないコチコチの国粋主義者が国を乗っ取った。
America FirstからMe First. 利己主義者は自分の事を最優先に考え、他者の困惑、困窮、反対などお構いなしに自己利益追求に突き進む。他者との軋轢、混乱、闘争がより激しくなるが、それを力で抑え込もうとする。文句の言い合いで会話は成り立たない。
選ばれた大統領はそんな男で、傍若無人な振る舞いに、その災禍は選んだ国民の上に降りかかってくる。この様な大統領を賛美する外国人まで出てきている。アメリカファーストの大統領が周辺国に何を仕出かすか分かっていないようだ。三―ファーストの男から発せられる災厄は米国民のみならず、外国の自分達の上にも降りかかって来ることを理解すべきだ。
取り敢えず今の処米国はまだ民主国家だ。今はTriple Redの政治状況ではあるは、2年後には議会選挙があり、4年後には次の大統領選がある。選挙に於いて軌道を修正することは可能だ。尤もこの4年間で、悪だくみに長けた男は、如何なる手段を弄して、法律を変え、自己の終身大統領職に留まり、2流3流の独裁国に替えて行かないとも限らない。絶対王者は法律も何もかにも自由気ままに変えられる。絶対王者は法律も何もかにも自分の意のままに好きなように変えられる。願わくば、米国民が賢明な国民に立ち戻ってもらいたい。