ちゃおチャオブログ

日々の連続

Brexit、民族主義の台頭。

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21世紀がスタートして、漸く5分の一になろうとしている。15,16世紀の大航海の時代から始まって、17、18世紀の産業革命、19、20世紀の激動の時代を経て、今世紀は平和の果実を得る世紀、戦争の惨禍から世界が連帯しての平和な市民生活が得られる、人類が理想とする社会になりつつあるかに見えた。しかし前世期、20世紀末からの世界の各地域での紛争、国の分裂、テロ問題、等々の混乱で、平和への歩みは黄色信号が灯っているかのように思えた。こうした混乱により生まれた7000万人を超える難民は、世界の先進国に溢れ、既に許容範囲を超えている。あちこちで難民問題に関わる悲惨な事故、事件が報じられている。一つには、国連が十分に機能していない点にあり、問題解決する能力の欠如にある。強制力を持っての紛争の即時停止、混乱国家の解体、難民の定住化、等々の政策が取られず、こうした難民をほぼ放置している状態が、今日のような混乱を拍車shている。

そうした中、一昨日行われた英国国民投票、EUに残留すべきか離脱すべきかの投票は、英国人以外の多くの識者、指導者の事前の予想と希望を覆し、EU離脱の結果となり、世界の経済界を大混乱に陥れた。民主主義の根付いている英国であればこそ、国民の過半数が離脱を選んだことを、政府も国民も受け入れ、キャメロン首相は即座に辞任した。問題の根は、彼が責任を取って辞任するとか、そういう問題ではなく、英国民の多数が、EUから分離して、独自の国家経営をしていくを選んだことである。その投票行動の多くには、EU域内の民族の自由な移動が挙げられ、東欧諸国から出稼ぎ労働者の大量の移住は、英国民の仕事を奪い、所得を減少させることにあった。従って、EUから離脱することによって、こうした流れを阻止することにあった。

この英国民の今回の投票行動は、この先の世紀、2100年までには尚80数年残されているが、この先の80年間を占う上での重要な契機、マイルストーンになるかも知れない、ということである。前世期までの融和と統合の象徴、国連とEUは、この英国離脱により、統合から分裂に向かって行く、ということである。
即ち、英国民は自らの国家運営は自らの意志で行う、という民族主義の台頭が英国のみならず、他の先進国に波及していく切っ掛けを作ったことである。明日、月曜日、スペインで選挙が行われる。既に民族主義の政党が伸張しているが、選挙の結果、第一党になるかも知れない。5月に行われる予定のオランダでは既に1位の票を得ている右翼政党がどれだけ票を伸ばすかに、世界の目は向けられている。フランスではルペン党首率いる右翼が既に政権の座まで肉薄している。これ等は皆、民族主義の台頭で、国民の投票行動がその方向に向かっていることを示している。これ等の右翼政党が政権を取得すれば、英国同様に国民投票に踏み切り、次々にEUから離脱して行く危険性を孕んでいる。

国家間の争いから前世期世界規模の戦争が始まり、2000万人を超える戦死者を出し、その反省として、世界平和、国連やEUが出来たのだが、今や、1世紀も経ずして分裂の危機に向かおうとしている。前世期のヒトラーの悪夢を思い出す訳ではないが、民主的に選ばれた政権、ナチス党が、法律に則って国を変え、膨張し、戦争への道を進んで行った。現在の社会制度が100年前の当時とは異なるとはいえ、世界を覆う民族主義の台頭は、そうした憂いを払拭できない。今回の英国の行動が、そうした世界の融和と協調に対する逆回転とならないことを願う次第である。


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