ちゃおチャオブログ

日々の連続

四国霊場最後の巡礼(7)第六十六番札所 巨鼇山 千手院 雲辺寺にて。

  • 五百羅漢は参道以外の場所にもあちこちに立っている。

    f:id:commodore:20201123213622j:plain七輪の石塔も立っている。

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    • 薬師堂か・・

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      • この坂の下に宿坊がある。

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四国霊場第66番札所 巨鼇山(きょごうさん)千手院 雲辺寺。四国お遍路霊場巡りには何か所かの「遍路ころがし」と呼ばれる難所がある。霊場で一番高い911mの山中にあるこの寺も「遍路ころがし」と呼ばれている。各県に1か所以上はあるが、特に多いのはスタート直後の徳島県で、「一に焼山二にお鶴、三に太龍」と言われるように3か所もある。阿波徳島は「発心の道場」。厳しい山道に音を上げて脱落するか、それを乗り越えて更にその先の土佐「修行の道場」に向かうかの早い段階での選別を迫られる。「ころがし」は「ころびバテレン」の用法にあるように、強い信仰心を喪失させるような難所で、実際に坂道に足を取られて転ぶことよりも、精神的な転び、信仰心を試す意味合いが強かったのだと思う。ここ雲辺寺のある讃岐は最後の道場「涅槃の道」であり、ここまでやってきたお遍路さんには既に強固な信仰心が植え付けられ、今更「転ぶ」ようなことはない。従ってこの場所での「遍路ころがし」は精神的なことより、高い山に登るという、物理的な転倒の危険を注意喚起しているのだろう。

「涅槃の道場」の最初のお寺。参道には五百人の羅漢、阿羅漢が出迎えてくれるが、正にその「涅槃の道にようこそ」、との歓迎の意だろう。知人の井野さんが数年前に亡くなり、今は目黒の羅漢寺に眠っている。羅漢寺という名前のお寺は全国に点在していると思うが、その総本山は大分耶馬渓近くにある羅漢寺で、以前青の洞門を見た後、人里離れたその寺に行ってみた。500人の容貌、様相を子細に見ることはしなかったが、人さまざまな性格、生き様、人生の凝縮が500のタイプにプロトタイプされていると思った。お釈迦さんの没後、王舎城の近くにある霊鷲山に500人の阿羅漢が集まって、仏典整理を行った。500人の悟りを開き、涅槃の道に入った阿羅漢。参道に並ぶその500人の羅漢像に睨まれ、見つめられると身もこそばゆい。

この寺の山号「 巨鼇山」。初めて見る文字で、何と読むかも分からず、調べてみると「きょごうさん」。「 鼇」は「ごう」と読むようだ。意味は「亀とか大亀、大なまず」。「 鼇山」とは「海中で仙山(仙人が住む山)を支える大海亀」との意味で、弘法大師なのか誰なのか、誰が最初にこの山号を付けたのか、昔の人は全く難しい文字と謂れを知っていたものだ。寺伝によれば空海はこの山に3回登り、最初は15歳の時に善通寺の上棟木材を得るためにこの山に登り、その時霊気を感じこの地に堂宇を建立したのが始まりという。次は唐から帰朝した後の35歳時、ここで秘密灌頂の儀式を行った。更にその11年後、嵯峨天皇の勅命を受け、ご本尊の千手観世音菩薩を刻み、七仏供養を行ったとのことである。

徳島の難所、霊場で3番目に高い焼山寺鶴林寺太龍寺にはへとへとに疲れた感じの歩きお遍路さんを何人か見かけたが、ここでは全く見かけない。時間が早いせいなのか、コロナ禍で巡礼を控えているのか・・。この後22ケ寺を訪問するが、讃岐路に於いては、一人の歩き遍路には出会わなかった。6月の愛媛、伊予路では何か所かのお寺で見かけることもあったが・・。初夏と初冬との季節の違いもあるかも知れないが・・。さて、紅葉に縁どられた参道を下り、大師堂、本堂と参詣し、梵鐘を撞き、御朱印を頂く。窓口の若い寺僧に「車で来られたんですか?」と聞かれた。ここにお寺があるのだから、車道もできているのだろう。「車だったら協賛金(車道利用料)を収めて下さい。」とのことだった。ロープウエイで往復2000円。車だったら協賛金は幾らになるのだろう・・。

 

境内は丁度程よい紅葉になっている。

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  • 本堂の前にある鐘撞堂。梵鐘は谷底に木霊して行った。

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    • 鐘撞堂から紅葉の先に大師堂も見える。

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      厄除不動像も見える。

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      巡礼の順序が逆順になったが、ここが山門だ。「巨鼇山」と書いてある。

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