機は北浦から左にコースを取ったが、今眼下に見えるのは霞が浦だ。
土浦、桜川の辺りか・・
ああ、前方に筑波山が見える。ちょっと雲がかかっていてはっきり見えず、残念だ。
ああ、稲敷郡の上空を飛んでいる。水田が光って見える。
ピーチ機は鹿島灘の内側北浦を北限に左旋回し、Uターンをするようにして成田に向かう。眼下の湖は北浦から日本で2番目の大きな霞ケ浦の上空を飛行する。遥か前方に筑波山が見える。平原の中のツインピークだから、遠方でも良く見える。この山は過去2回登ったことがある。100名山の一つではあるが、1000mもない低い山で、下から数えると、2番目か3番目に低い山だ。10数年前、筑波エキスプレスが開通し、都心からも簡単に来られるようになったが、それ以前は筑波学園都市には鉄道駅が無く、常磐線の最寄駅からバスでないとやって来れなかった。
この辺りは昔から常陸、常磐の米どころ。万葉の時代から開かれていて、常陸、筑波嶺など万葉集にも詠われていた。常陸の国府もこの霞ケ浦の直ぐ北側にある石岡にあった。水戸と言えば納豆で有名だが、全国的に有名な「おかめ納豆」は、今眼下に見える小美玉市、旧名小川、美野里、玉里の3町が合併してできた市で、いずれも米どころだ。小美玉とは各3町の頭の一字を取ったもので、これでは喧嘩にはならない。平成の大合併で集合される以前は、広大な稲敷郡で、名前からしても米作の一大産地を思わせた。
今は4月の後半。兼業農家が増えてきた最近では、5月の連休を利用しての田植えが主流になっているが、今眼下の田んぼには田植え前の水が張られ、荒田の土を反射して黒々と見える。その小さな四角に区切られた荒田は無数に広がっていて、今正に田植えを待ち構えているようだ。日本の水田。瑞穂の国の稲敷の荒田。日本の心を映している。ピーチ機がこのコースを飛んでくれて、いろいろと初めて見る珍しい景色を見ることができた。
代掻きの終わった田んぼが幾つも見える。田植えを待つばかりだ。
ああ、これは利根川から分流された江戸川上流か・・
広大な農地が広がっている。
瑞穂の国の稲敷郡の水田だ。