ちゃおチャオブログ

日々の連続

紀の国訪問記(23)宿坊での夕食。

夕食は落ち着いた和室で頂く。

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江戸時代に戻った感じの部屋で3膳頂く。

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凝った料理の精進料理。完食した。

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宿坊、清浄心院に着くと同時に作務が出てきて、夕食の部屋に案内される。食堂とか、自分の部屋でひっそりと食べるかと思っていたが、そうではなくて、随分古風な和室に案内されて、食膳が配膳されるのを待つ。10畳程の広さの部屋で、床の間には書画も掛かっている。奥の部屋との間は嵌め殺しの襖になっていて、そこには雪舟風の襖絵が描かれている。自分には価値は分からないが、如何にも古そうで、高価なものだろう。隣室との襖は開け広げ可能になっていて、大人数の宴会にはこの襖が取り払われ、二つの部屋を繋げて使えるようになっている。ここの襖絵は牡またまた円山応挙風。この広い部屋で一人で食事を摂るのがモッタイナイ感じだ。誰か話し相手がいれば、より食事も豊かになるものに違いない。

宿坊での食事は基本、精進料理だ。肉類、魚介類は禁物である。お酒とビールは部屋に買いおいてあるが、ここに持ってくる訳にはいかない。1日だけの修行の身だ。般若湯は部屋に帰ってからにしよう。待つほどもなく、お膳が運ばれた。作務は3回往復し、3善を並べた。どれも見た感じ凝っていて、美味しそうだ。長い伝統を感じさせられる食膳である。ここでは御斎と呼ばしょれているが、これは以前中国上海にある大寺、静安寺で頂いた食事、斎食と同じ呼び方だ。精進料理は斎食、菜食のことなのか・・。中国の饂飩が美味しかったが、ここにもウドンが出されている。それから胡麻豆腐、胡麻護摩に通じるのか・・。どれもこれも初めて食べるような精進料理で、淡白な味覚の中に連綿と続いている和風の伝統を思った。

開け放たれた濡れ縁の外に緑濃い庭が見える。遠くからつくばいの音がポン、ポンと間遠に聞こえてくる。明日は75歳の誕生日。実に良いお祝いの場になった。大過なく過ごした75年、自分で自分を褒めてやろう。お櫃のご飯を2杯半お替りして、食膳は綺麗に平らげて、自室に戻った。

 

部屋の外は庭になっていて、心地よい。

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どこかからか、つくばいの音も聞こえてくる。

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鯉も泳いでいる。全く音のない世界。

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全く別世界へ来た感じで食事を終える。

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