ちゃおチャオブログ

日々の連続

「日帰り上高地」(2)フランスワインと河童橋。

雨が小降りになり、梓川沿いを少し上ると前方に河童橋が見えて来た。
 
 
 
河童橋。この光景を最後に見てからもう何年になるだろう・・。
 
 
 
雨の中、かなりの人が橋を渡っている。
 
 
 
ああ、良く見れば仲間の二人ではないか!
 
 
 
どこまでも清らかな川が流れている。前方は北アルプスだ。
 
 
 
梓川。日本一長い信濃川の源流だ。
 
 
 
 
橋を渡る。このゲートの形は何十年経っても変わらない。 
 
 
 
 
 
暫らくバスセンターで雨宿りしていると、雨足も徐々に小降りになってきた。それを見計らって歩き始める人も増えて来た。時間も既に12時を大きく回っている。我々もいつまでもここにいる訳にはいかない。傘を差して小降りの中を河童橋に向かうことにした。この程度の雨なら心配ない。霧雨程度だ。

梓川沿いを数百m歩くと、目の前に木造の橋が架かっている。河童橋だ。上高地を代表するロケーション。明治の初め頃、山好きのイギリス人宣教師ウエストンが日本各地の高山を走破し、中でもこの上高地が気にいったようだ。で、この河童橋も明治の中半には既に掛けられていた。当時は交通事情も悪く、殆どが徒歩か馬車での往来で、ここへ来るのも随分と難儀しただろう。しかしそれにも拘わらず、当時から山好きは沢山いたに違いない。

上高地ではここが一番賑やかな場所で、橋の両側にはホテルや土産物店が集まっている。人々は橋の上に佇み川の流れを眺めたり、記念の写真を撮っている。小雨の煙る晩夏の1日、良い思い出になるだろう。ツアーで五千尺の弁当が出るからとの広告で、3人分の弁当を注文したが、橋の手前がホテル、橋を渡った先がロッヂになっていて、どうも我々が注文した弁当は、ホテルのではなく、ロッヂの弁当のようだ。ここへ来て初めてその違いに気が付いたが、兎も角橋を渡って、五千尺ロッヂに入り、遅いお昼とする。

さて今回のツアーでは、買出し役を大さんにお願いし、後で3人で分担する約束でいたのだが、大さんがリュックから取り出したのは、何と、フランスワイン! 銘柄を見ると、何とそれはロスチャイルド家のシャトーで醸造されたものではないか!Rothschild! ボルドーの最高級ワインだ。めったに飲めるものではない。

聞くところによると大さんの奥さんが最近フランスニースを旅行し、ご主人のお土産に買ってきたものだそうだ。もっと上等なワインは何等かの事情でドゴール空港で没収されてしまったとか。大さんに飲料の買出しをお願いしたが、我々二人の懐具合を心得ている彼は、いずれ安いチリワイン位を買ってくるものと想像していたが、ここでボルドーワインを飲めるとは!

五千尺ホテルならぬロッヂの、値段からしたらかなり期待外れの弁当がつまみでは、高級ワインに誠に申し訳ないが、深い香りと味わい、これだけ飲めば、今日上高地へ来た甲斐もあったというものだ。我々3人だけロビーでゆっくりしてるのを見かねたマネジャーが痺れを切らしたのか追い立てるように催促に来たが、外を見るといつの間にか雨も上がっていて、見渡すと、本当だ、我々3人以外にはいつの間にか誰も居なくなっていた。

カッパの川流れ。その昔、この辺りにはカッパが沢山住んでいて、そうして付けられた橋の名前だそうだが、後年、芥川龍之介がこの橋の名前「河童」から取った幻想的な小説を書いて、暫らく後自殺したが、「カッパの川流れ」。当時にあっては人里離れた山間の渓流で、芥川がそんな幻想を描いたとしてもむべなるかな。高級ワインで足元がやや覚束ない中、3人で歩いていれば河童に攫われることも無かろうと、漸く雨の上がった上高地の森林に向かって散策を始めることにした。
 
 
  
 
五千尺ロッヂの側も賑やかだ。
 
 
 
ロッヂの前も又良い散策路になっている。
 
 
 
さて、今日の昼食、およよ、大さんがフランスワインを持って来た!
 
 
 
ほう! ロスチャイルド(Rothschild)シャトーのボルドー最高級ワインだ! 「レジェンド」、伝説のワインだ!
 
 
 
高級ワインに比べ、五千尺ホテルならぬロッヂの1200円の弁当は、名前倒れだった。
 
 
 
さて昼食後、雨も上り、明神池に向かって歩く。
 
 
 
野辺に咲く菊も雨に打たれて美しい。