高雄山口駅前は相変わらずの沢山の人出だ。
土産店の店先には桜もさいている。
ああ、花の垣根だ。山茱萸みたいだ。
駅前では今日も又地元の人たちの出し物が行われている。
中間点の見晴らし台から関東平野を眺める。今日も晴天だ。
高雄山頂も又すごい人並だ。だが、大半の桜は散り落ちていた。
山頂には遅咲きの桜が1本あって、その下では沢山の人が昼を楽しんでいた。
今日の富士、見るや見えずや・・
もみじ平まで足を延ばすと、こちらの桜はまだ半分程残っている。
山の桜、まあ、見ごたえもある。
去年と同じ場所のベンチに座る。ツツジがまだ初々しい。
山の桜は純な色。空気の違いか・・
ああ、黄地筵、キジムシロが沢山咲いている。
ここ数年、高尾山の桜を見る機会が多くなり、季節になると山に登るのを常としていたが、去年は少しタイミングがずれて、行った時は既に花は散っていて、桜の代わりに真っ赤に色づいたツツジを前に、遠方の富士を眺めながら弁当を食べることになった。今年こそはと、毎年心待ちしているのだが、山の桜は里と違ってタイミングを推し量るのが難しい。
8時過ぎに自宅を出て、10時前には高尾山口駅。いつもよりは1時間ほど早い。駅前は春の行楽シーズンでかなりの人出。ひと頃、ミシェランガイドブックに載った頃は、大勢の外人客が押しかけてきていたが、最近はやや下火になったとは言え、白人、中国人、南米系、と様々な外人客の姿も見える。高尾は漸く外国人にも認知された山になってきたようだ。が、いつものことだが、タイ人は見当たらない。山に登る習慣のないタイ人には高尾であっても無縁の存在なのだろう。
ケーブル駅まで行く途中の土産物店の前の桜が見事に満開で、今日の山頂、大いに期待が持てる。ケーブルの先の山を仰ぎ見ると山中に幾つかの桜も見える。今日は春の好天。時間もあるし久しぶりに日当たりの良い稲荷山コースを登ってみよう。登り始めて後からやってくる大勢の登山者に追い抜かれる。以前よりは足腰も強くなってはきているが、まだまだ以前の脚力までは回復していない。もう70過ぎだ。無理することもないだろう。元気な人はどんどんお先にどうぞ。追い抜かされるままにゆっくりと歩を進め山頂に向かう。
山頂からほぼ中間程に当たる見晴らし台で一休み。関東平野が一望に見渡せる。新緑の中、所々に桜の木も見える。山頂まで残り半分。桜貝のような小さな花びらが空を舞い、花の絨毯のような山道を、踏み乱すのも哀れに思うが、多分、他の登山者も同じような感覚なのだろう、幾分歩を緩め、山頂に向かっている。鶯が登山客を迎えるようにおちこちで鳴いている。澄んだ鳴き声が谷の向こうの薬王院にまで響くようだ。
山頂までは約1時間半、12時丁度に到着した。山頂の大見晴らし台、600mには1m足りない標高599mの記念碑の周りは大勢の人人人。が、楽しみにしてやってきた山頂の桜は既に散っていて、1本だけ遅咲きの木の下で、沢山の家族やグループがシートを広げ賑やかだ。丁度お昼時、春の宴だ。
山頂西端の展望台から春霞に霞む富士を見るともなく見て、もみじ平に向かう。そこは高尾よりも更に奥で標高も高いので、桜もまだ散り残っているかも知れない。が、矢張り一歩違いだった。満開は既に峠を越して、何本かの山桜が葉と花を同時に咲かせている。それでも去年よりは随分とマシだ。去年は桜の代わりに真っ赤に燃えている山ツツジだったが、今年の躑躅はこれから満開を迎える風情、楚々として初々しい。去年と同じ場所のベンチに座り、今年は山桜と躑躅を同時に眺め、先ずはビールで乾杯。今年もここまで登ってこれたのだ。
さて、時間は1時。いつもは城山を経由して小仏峠下のバス停まで出るか、相模湖へ下るか、或いは又高尾駅に戻るかだが、今日は時間もまだ早いし、足の疲れもそれ程ない。久しぶりに大垂水を渡り、大洞山を越えて、峰の薬師まで行ってみようか。峰の薬師へ行ったのはもう何年になるか・・。
その大垂水に向かうべく、高尾の本道から脇道に出ると、登山客はめっきり減って、深い山歩きの趣になる。と、その谷間に1本見事な桜が満開になっている。春の緑の山の中、ひと際あでやかに、気品があって、そう山の中の貴婦人だ。桜の好きな西行が桜を求め山を渉猟、70にもなって尚吉野に登り、庵を結ぶ。
< さまざまの こと思ひ出す 桜かな >
しばし足を止めて桜に見入る。
国道20号線、甲州街道を大垂水に架かる歩行者用陸橋を渡る頃には登山者も殆どなく、高尾の賑わいは嘘のよう。ここからは南高尾、湖畔の道になる。高尾の方からこの方面を眺めると、低い峰道の連なりのように見えるが、この山道の中心、大洞山は534mもあって、見た目以上に起伏は厳しい。その大洞山に向かって、登りのきつい坂道が続く。
高雄山口から大垂水を渡り、三沢峠から梅木平までの総延長は約16キロ。大垂水が丁度半分位の距離だが、後半半分の道のりも楽ではない。この高々534mの小山を登るのさえ容易ではない。登山者が全くいない訳ではなく、ぼちぼち行違う人もいれば、追い抜いて行く登山者もいる。今この山道を歩いているのは一人ではないと思うと、安心感も生まれる。兎も角、頑張らなくては。頑張らなくては高尾に戻れない。
時々鶯の鳴き声が聞こえたり、山ツツジと山桜が同時に咲いている花の競演に心癒され、漸く三沢峠の分岐に着いたのは4時。この先更に峰の薬師まで歩き、更に山道を四辻まで出るのは無理だろう。疲労もかなり蓄積してきた。一人の山、無理は禁物だ。ここから梅木平まで整備された山道を下って3キロ。山は安全策が第一だ。峰の薬師は次の機会にしよう。今度は逆順で歩いて峰の薬師を先に回れば楽かも知れない。
陽が長くなって、5時でもまだ明るいが、人っ子一人いない淋しい山道を下り、麓の外れ、老人福祉病院の白い建物を見て、漸く安心し、雀のお宿「竹亭」の前を通り国道20号線に出て、もう既にバスもなく、更に1.6キロの国道を高尾山口駅まで歩き、本日合計約18キロの山歩きを終え、6時半、漸く東小金井に戻ってきた。先月の湘南ウオーク35キロに続いての長い1日だった。
8時過ぎに自宅を出て、10時前には高尾山口駅。いつもよりは1時間ほど早い。駅前は春の行楽シーズンでかなりの人出。ひと頃、ミシェランガイドブックに載った頃は、大勢の外人客が押しかけてきていたが、最近はやや下火になったとは言え、白人、中国人、南米系、と様々な外人客の姿も見える。高尾は漸く外国人にも認知された山になってきたようだ。が、いつものことだが、タイ人は見当たらない。山に登る習慣のないタイ人には高尾であっても無縁の存在なのだろう。
ケーブル駅まで行く途中の土産物店の前の桜が見事に満開で、今日の山頂、大いに期待が持てる。ケーブルの先の山を仰ぎ見ると山中に幾つかの桜も見える。今日は春の好天。時間もあるし久しぶりに日当たりの良い稲荷山コースを登ってみよう。登り始めて後からやってくる大勢の登山者に追い抜かれる。以前よりは足腰も強くなってはきているが、まだまだ以前の脚力までは回復していない。もう70過ぎだ。無理することもないだろう。元気な人はどんどんお先にどうぞ。追い抜かされるままにゆっくりと歩を進め山頂に向かう。
山頂からほぼ中間程に当たる見晴らし台で一休み。関東平野が一望に見渡せる。新緑の中、所々に桜の木も見える。山頂まで残り半分。桜貝のような小さな花びらが空を舞い、花の絨毯のような山道を、踏み乱すのも哀れに思うが、多分、他の登山者も同じような感覚なのだろう、幾分歩を緩め、山頂に向かっている。鶯が登山客を迎えるようにおちこちで鳴いている。澄んだ鳴き声が谷の向こうの薬王院にまで響くようだ。
山頂までは約1時間半、12時丁度に到着した。山頂の大見晴らし台、600mには1m足りない標高599mの記念碑の周りは大勢の人人人。が、楽しみにしてやってきた山頂の桜は既に散っていて、1本だけ遅咲きの木の下で、沢山の家族やグループがシートを広げ賑やかだ。丁度お昼時、春の宴だ。
山頂西端の展望台から春霞に霞む富士を見るともなく見て、もみじ平に向かう。そこは高尾よりも更に奥で標高も高いので、桜もまだ散り残っているかも知れない。が、矢張り一歩違いだった。満開は既に峠を越して、何本かの山桜が葉と花を同時に咲かせている。それでも去年よりは随分とマシだ。去年は桜の代わりに真っ赤に燃えている山ツツジだったが、今年の躑躅はこれから満開を迎える風情、楚々として初々しい。去年と同じ場所のベンチに座り、今年は山桜と躑躅を同時に眺め、先ずはビールで乾杯。今年もここまで登ってこれたのだ。
さて、時間は1時。いつもは城山を経由して小仏峠下のバス停まで出るか、相模湖へ下るか、或いは又高尾駅に戻るかだが、今日は時間もまだ早いし、足の疲れもそれ程ない。久しぶりに大垂水を渡り、大洞山を越えて、峰の薬師まで行ってみようか。峰の薬師へ行ったのはもう何年になるか・・。
その大垂水に向かうべく、高尾の本道から脇道に出ると、登山客はめっきり減って、深い山歩きの趣になる。と、その谷間に1本見事な桜が満開になっている。春の緑の山の中、ひと際あでやかに、気品があって、そう山の中の貴婦人だ。桜の好きな西行が桜を求め山を渉猟、70にもなって尚吉野に登り、庵を結ぶ。
< さまざまの こと思ひ出す 桜かな >
しばし足を止めて桜に見入る。
国道20号線、甲州街道を大垂水に架かる歩行者用陸橋を渡る頃には登山者も殆どなく、高尾の賑わいは嘘のよう。ここからは南高尾、湖畔の道になる。高尾の方からこの方面を眺めると、低い峰道の連なりのように見えるが、この山道の中心、大洞山は534mもあって、見た目以上に起伏は厳しい。その大洞山に向かって、登りのきつい坂道が続く。
高雄山口から大垂水を渡り、三沢峠から梅木平までの総延長は約16キロ。大垂水が丁度半分位の距離だが、後半半分の道のりも楽ではない。この高々534mの小山を登るのさえ容易ではない。登山者が全くいない訳ではなく、ぼちぼち行違う人もいれば、追い抜いて行く登山者もいる。今この山道を歩いているのは一人ではないと思うと、安心感も生まれる。兎も角、頑張らなくては。頑張らなくては高尾に戻れない。
時々鶯の鳴き声が聞こえたり、山ツツジと山桜が同時に咲いている花の競演に心癒され、漸く三沢峠の分岐に着いたのは4時。この先更に峰の薬師まで歩き、更に山道を四辻まで出るのは無理だろう。疲労もかなり蓄積してきた。一人の山、無理は禁物だ。ここから梅木平まで整備された山道を下って3キロ。山は安全策が第一だ。峰の薬師は次の機会にしよう。今度は逆順で歩いて峰の薬師を先に回れば楽かも知れない。
陽が長くなって、5時でもまだ明るいが、人っ子一人いない淋しい山道を下り、麓の外れ、老人福祉病院の白い建物を見て、漸く安心し、雀のお宿「竹亭」の前を通り国道20号線に出て、もう既にバスもなく、更に1.6キロの国道を高尾山口駅まで歩き、本日合計約18キロの山歩きを終え、6時半、漸く東小金井に戻ってきた。先月の湘南ウオーク35キロに続いての長い1日だった。
三沢峠から梅木平に下る。人家が漸く見えてきた。