ちゃおチャオブログ

日々の連続

7.8(水・曇り)災害国日本。ダムと治水。

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災害国日本。コロナよりも恐ろしい現実的な災害で、各地の被害が報じられて居る。ブラジル・ボルソナロ本人も罹ってしまったが、彼が謂う様にコロナが新奇の早罹り病だとすれば、日本の水害、災害はコロナよりも遥かに甚大だ。人命、家屋、道路、インフラの被害は甚大だ。GNPに換算すれば軽く1兆円は超えるだろう。

地球温暖化の中で、自然災害は年々巨大化し、凶暴化し、手に負えないものになってきている。それは災害国日本だけでなく、地球規模で起きている。どこかのバカな大統領が地球温暖化などフィクションだとほざいているが、その間現実に海面温度が上がり、南極北極の氷が解けて、太平洋の小国ツバルなどの島嶼国は、国全体が水中に埋没しかねない危険状態になっている。目先の早い中国などは北極海の氷が解けて、北極圏航路が開かれるのを見越し、人口僅か20数万の小国グリーンランドに触手を伸ばし、アフリカでやっていると同じような中国化を進めている。米国大統領トランプは早くこの危険に気づくべきだ。

 

国の統治の基本的な部分に河川のコントロールがあった。河川を治める者が国を治める。中国古代の堯瞬兎の時代からそれは言われ、兎王は黄河流域の治水に成功し、聖王に崇められた。以前済南の郊外を流れる黄河を見に行き、その兎王の碑を見に行ったが、コントロールされた河川は多くの恵みを人民に与え、又、重要な交通路ともなっている。今問題となっている武漢ウイルスの武漢も、揚子江中流域の重要な要衝で、その交通インフラの重要性は、黄河の済南と同様、3000年経った今にも受け継がれている。

 

日本の伝承でもそれは同じであり、ヤマタノオロチは漢字で書けば八岐大蛇、それは出雲を流れる斐伊川の川筋が幾つにも枝分かれしていて、恰も八岐のようになっているのを表現していると言われているが、そのオロチ、大蛇を退治したのが素戔嗚尊スサノオ)で、川筋の娘稲田姫を救い、目出度く結婚することになった。斐伊川中流域にある八重垣神社は二人が婚姻した場所とも言われ、その小ぶりな神社の直ぐ側に鄙びた温泉が今でもあって、眼下に広がる出雲の地を眺めたのを思い出す。治水は実に国の根幹だと。

 

先年鹿児島を訪問した折、城山の麓に薩摩義士40数名の大きな石像が立っていた。それは江戸時代初期、徳川幕府は薩摩の力を削ぐ為に、木曽川揖斐川長良川木曽三川が合流する長嶋の地の河川改修を命じ、それに従った薩摩藩は莫大な費用と多数の人命を失ったが、現在見るような三川の分離が見事にできていて、それ以前にはこの地に多発していた水害を食い止めることができた。城山の石碑程立派なものではないが、確か桑名だったと思うが、その難工事を表彰した石碑も立てられていた。このように河川の治水は日本に限らず、重要な国政の眼目ではあった。

 

処で、去年の関東地方集中豪雨に際し、政府は八ッ場ダムが完成していたお陰で、利根川の氾濫を抑えることができたと、ダムの重要性を自己宣伝すると同時にこのダム建設を中止した前政権を非難していたが、確かに、ダムが出来たことによって上流からの流入水を貯めることができ、その限りでは一定の効果はあったと思われるが、政府は去年の豪雨で、仮にこの八ッ場ダムが無かった時の被害シミュレーションを行っていない。自分が思うに、仮にダムがなかったとしても、周辺住民が心配するような巨大な水害は起きていなかっただろうと、との単純な考えだ。

この利根川も嘗ては大きな水害を葛飾の住民に与えていた。江戸幕府はこの日本一の河川の流れを変える為に、外房、銚子の方向に流れ出るよう河川改修を行った。それ以降、葛飾方面での水害は減ったと言われる。当時の葛飾郡は大きな範囲で、今でも埼玉の葛飾郡には古利根が嘗ての名残のように、流れている。

幕府は他に、栗橋の先に渡良瀬遊水地と言う大きな遊水地を作り,急増する水流を一時的にこの遊水地に流れ込ませる緩衝帯も作った。巨大ダムの建設が出来なかった当時、幕府はいろいろな工夫をして、災害防止に務めたのだ。

 

今回の熊本水害。球磨川上流域の川辺ダムの問題がまだ持ち上がってはいないが、この川辺ダムは八ッ場ダム同様に前政権により、建設中止が決まった。しかし、安倍政権の誰も,このダム建設中止によって、被害が拡大されたとは非難していない。それは今回の水害がこのダムが出来ていたとしても同じことだったろうと分かっているからだ。今回の水害は球磨川本流の決壊よりもそこに流れ込む支流の決壊であり、巨大ダムの有無に関わらず、起こりえることだった。

 

治水は単にダムを造るだけでなく、総合的な施策をすることである。どの政権の誰が言ったのかは覚えていないが、日本強靭化施策というものがあった。この施策の中に、災害国日本の河川の治水に関し、単にダムや堤防の建設だけでなく、誘水地、河川の変更、山を穿つ位のトンネル工事、等々の総合的な計画があるのか。国民一人10万円の合計12兆円をばらまく程の財政の余裕があるのなら、その1割でも振り分けられれば、もっと強靭な災害フリーの日本を作ることは可能と思うが。

 

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