外洋フェリーターミナルの少し先に、海上保安庁第十一管区石垣保安部の埠頭があった。
今巡視船が岸壁に横づけされている。近くで見ると、かなり大型の艦船だ。
しかし武器は機関砲しか持っていない。これでは捕鯨船と同じだ。
波止場まで来ると同型艦の巡視船が5-6隻係留されていた。壮観だ。
日本の海の守護神。
内地の神戸港や台湾基隆港を結ぶ外洋航路フェリーターミナルから真っすぐ先が石垣海上保安部になっている。遠くからでも背の高い青と白に星のマークの煙突マストの巡視船が見える。これは海上保安庁の統一マークで、どこの保安部へ行っても、同じマークの煙突を見ることができる。実にスマートで、斬新なデザインだ。日本人の清潔さがにじみ出ている。
遠くからではよく分からなかったが、波止場までやってくると、かなりの数の巡視船が係留されている。皆出払って、尖閣周辺の警備に行っているのかと思っていたら、交代制で運用されているようだ。切れ目のない警備を継続して行くためには、こうした警備艦がいつでも出航できるように、常にスタンバイしている必要があるのだ。波止場に係留されているからと言っても、息は抜けない。何かあったらすぐにも出動だ。相手は何を仕出かすか分からない中国。命を張っての緊張の連続だろう。
今問題になっている尖閣諸島はここからは100キロ以上も離れている。巡航速度30キロで行ったとしても3時間以上はかかる。フルスピードの50キロで向かったとしても2時間だ。一触即発の国境警備を夜も寝ないで守っているのだ。最前線の保安官。総理も沖縄に来ることがあったら、もう少し足を延ばしてここまでやってきて、彼等の労苦に報いてやらなければならない。暖かい言葉を送ってもらいたい。総理の言葉は彼等をどれ程慰撫し、勇気づけられることだろう。
暫し巡視船艦隊の雄姿を眺めていると、丁度折から一隻の巡視船が警備から戻って来た。岸壁に横づけされ、直ぐにも乗員が吐き出されてきた。何日ぶりの陸か。皆足早に家路を急いでいた。どうもご苦労さん。皆さんのお陰で国が守られている。彼等に対する感謝の気持ちを胸に秘め、我々も一旦はホテルに戻ることにした。