もう次の電車までには30分ほどで、駅を離れて駅前を歩く時間はない。
串本は市ではなく町で、駅前もそれらしい簡素さだ。
暖かい土地で、ハイビスカスも綺麗に咲いている。
漸く電車がやって来た。太地までの約30分の乗車だ。
電車とバスの旅だから、不便は甘んじて受けなければならない。特に人口過疎の地方ではバス等の公共交通機関は、年ごとに削減、廃止され、もうこうした場所には高額なタクシー代を払って行くか、車のない人はお断り、の状況になっている。運転免許を持たない高齢者は、団体ツアーに参加するか、故人だったら、一カ所に決めて温泉旅行に行くしかないような状況になりつつある。メリット、デメリット。車を運転しないことにより、事故の加害者、場合によっては殺人者に成りうる危険を無くすことは出来るが、地方を旅行する個人旅行は0大きく制限される。先刻電動自転車で回った潮岬も、レンタカーがあれば、もっと早く簡単に、且つ今日は行けなかったトルコ記念館も短時間に回ることもできた筈だ。
串本駅でぼんやりと時間をやり過ごすうちに、小1時間もそれ程長い時間に感ずることもなく、過ぎ去った。今回の旅行では、こうした時間的不便さには大分慣れてきて、耐性もできつつある。串本と太地は隣町同士で乗車時間も30分程だが、駅はその間に5駅ある。この中で最も有名なのは、古座駅で、ここには古座川が流れている。本来ここも今日、高野山から真っすぐ護摩壇山経由、竜神温泉を通って紀伊田辺に出られたら、3時間以上の余裕時間も出来て、この古座駅にも途中下車できたかも知れない。太地のペンションには5時頃チェックインで予約していたが、そもそも5時台の電車が1本もなく、チェックインも7時近くにはなるだろう。
6時台の電車、夕刻だけあって、ガラガラではなく、そこそこの客も乗車している。学生とか、通勤客も多少はいるのだろう。ここも又レンタカーなら必ず途中停車し写真を撮ったであろう橋杭岩も串本駅を出た直後に通り過ぎた。客がそこそこ乗っていて、座席を移動してまでして写真を撮ることもできない。電車の中から瞬間通り過ぎた海上の岩礁の並びを見ただけで通過した。橋杭岩のような岩礁は、南紀の海岸にはあちこちにある。古座川に関しては古座駅を出た直後からカメラを手にして、写真態勢に入った。日本で一番美しい清流と言われている。雨の一番多い熊野山系で、熊野の森林で濾過された清水がこの川に流れ込み、清流を作っている。その川も又1-2分で通り過ぎて行った。矢張り電車を降りて、川べりで水を掬ってみたかった。どれ程透明な透き通った川かは手に取ってみなければ分からない。
ハチスのような花も咲いている。
ああ、これから古座川を通過する。
日本一の清流、古座川。ここも下車して行ってみたかった。
トルコ館に古座川。矢張り南紀はもう一度来よう。