田辺ステーションホテルにチェックイン後、三日前に昼食を摂った駅前飲食街のTimeへ又やってきた。
今晩はハモの唐揚げ。白身の美味しい魚だ。
疲れた身体にはビールも美味しい。
メバルの煮つけも美味しく頂いた。
旅行は好きだがお金持ちではないので、白浜に林立する高級温泉ホテルに本当は泊まって見たいのだが、泊まる予算は無く、田辺駅前のビジネスホテル、田辺ステーションホテルにチェックインした。ステーションホテルは去年四国お遍路で宇和島を巡礼した際、駅前のホテルに泊まったが、いずれも古いホテルで、十数年前からJRが駅に併設して作っているホテルメッツやクレメントホテルよりは古くから駅前にあり、宿泊代もその半分程度で、云わば駅前旅館と言った感じの簡易ホテルだ。昔の旅芸人とか、ストリッパーなどが利用していたのだろう。
このホテルの横の通りがこの町の所謂歓楽街、飲み屋街で、3日前、高野山から串本への電車での移動の際、この紀伊田辺駅で乗り換え時間があったので、昼食の為この通りを歩きレストランを探したのだが、多くの店がシャッターを下ろしていて、開いているのはラーメン屋程度。通りの大分先の方に「Time」というレストランが開いていて、そこでランチを摂って串本に向かったのだが、その時店主に、「ここは夜は開いているのか、又、土曜日もやっているのか」、と聞いた処、大人しそうなマスターは「ここは基本飲み屋ですから、夜もやっていますよ」との返事だった。
今日再び田辺に戻って来て、ホテルでチェックイン後部屋で一休みして、頃合いを見て「Time」へ向かう。前回昼間来た時も店には誰もおらず、食事中に一人おばちゃんがコーヒーを飲みにやってきて、マスターと会話するでもなくコーヒーを飲み終えたら、「ありがとう」と言って出て行ったが、今晩も又夕食時ではあるが、客は入っていない。コロナ下での経営の苦しさをまざまざと見る思いだった。店の奥のボードに書かれているメニューを見て、関西、特に徳島辺りでよく捕れているハモの唐揚げをもらう。
ハモは鱧と書いて、豊かな魚、関東では余り食べる機会はない。それから又メバルの煮つけももらい、ビールから始まって中国桂林の酒を飲んで食べている途中に、一人中年の客が入って来て、カウンターでマスターと二言三言何か話をして、定食の夕食を食べて出て行った。
再び無人の店になったが、こういう事にはもう1年以上慣れっこになっているのか、マスターはカウンターの奥で、下を向いて造り物か何かの手作業をしている。問わず語りに聞いてみると、マスターはこの町の出身で、大阪の料亭で永らく務め、10年くらい前に地元に戻って来た、とのこと。奥さんは北海道の出身で、大阪の料亭で働いていた時に知り合った。手芸が得意で内職に編み物をして、土産品として幾つかカウンターの横に置いてあった。300円、500円程度のもので、帰り際、孫の土産に2個買ってやった。
何年ぶりかで食べたハモは白身の淡白な味で、以前は確か大阪で水炊きのようなハモ鍋で食べたが、特別美味しいというものではなく、珍しさが先に立った。少しがっかりしたのは中国桂林の花酒、桂花珍酒で、何か杏子の果実酒を飲んでいるような感じで、アルコール分も少ないようだった。今朝も勝浦の民宿を早朝に出て、大社を2つも回り、殆ど1日ずっとバスに乗って紀伊半島南部を横断し、疲れもあった。余り飲み過ぎるのも予算の事もあり、頃合いを見てチェックアウトしたが、結構な夕食代になり、マスターを喜ばせると同時に、内職の奥さんの少しの足しにはなっただろう。
昨夜は「Time」で今回旅行の最後の夕食を摂り、今朝も早朝から行動。最後の日を目一杯動かなくては。朝食前にこの町で世界遺産に登録されている闘鶏神社に行くことにした。先ずは朝一番で統計神社にお参りし、それからホテルでの朝食を取ることにしよう。朝の散歩は気持ちよい。
この店のマスター。静かな人だ。名前を聞いたが、忘れてしまった。
中国桂林の桂林陳酒を初めて飲んだが、果実酒の味だった。
店内には奥さん手作りの編み物なども置いてあり、孫に土産で2個買ってやる。
今朝も好天だ。朝食前に闘鶏神社にお参りに行こう。