ちゃおチャオブログ

日々の連続

尖閣の問題は金門馬祖を学習せよ。

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尖閣周辺の波高し。
 
東京都の石原知事に黙って買わせておけば良かったものを、国は何を勘違いしたのか、直接購入に乗り出し、島の時価の10倍もするような法外な大金を支払って尖閣を買ったは良いが、長期展望、深謀遠慮、思慮の欠けた外交政策は、すぐさま中国サイドを硬化させ、ネットで糾合された徒党の集団により、中国各地の日本企業、商店、施設などが襲撃され、多大な被害に遭っている。
 
これは偏に中国国内の統治の問題に尽きるが、その原因を作ったのは日本政府の稚拙な判断と行動であり、島に20億円支払って購入したは良いが、それに数倍する今回の暴動被害に対しては、日本政府の行政執行上の重大な誤りがあったとして、これ等企業に対しては国として補償、賠償すべきである。
 
暴動に参加した不逞の輩は、ネットで糾合されたどこの馬の骨とも分からぬ不良が大半であり、この機に乗じて国内の混乱、騒乱を惹起させ、うっぷんを晴らし、あわよくばその中から何等かの利益を得ようとする不良集団であり、現実に青島のデパートでは中の商品が大量に持ち去られ、20億を越える被害が発生している。
 
中国政府は、陸上のこうした不良分子を規制するのは人口の点から言っても中々大変なことであり、今すぐの排除は無理としても、今日、9月17日、柳条湖事件記念日を境にこうした騒乱も徐々に下火になって行くと思われるが、それでも収集までには時間もかかり、日本企業が負った傷は、実際の経済的損失のみならず、深くトラウマとして残り、今後の日中の経済活動に際し、少なからぬ禍根を残すものと思われる。
 
海上行動に関しては、漁民は一応は海上取締当局の規制・統制下にあり、1000隻の漁船が尖閣に向かうとしても、日中漁業協定で定められた海域を越えて操業することは無いであろうし、漁船団に混入しての一部の跳ね上がり分子の異常行動を除き、陸上であったような騒乱は尖閣島に於いては引き起こされないものと推測するが、しかし、それも今後の日本国政府の対応による部分も多々あり、政府が再び稚拙な行動を取った時には、全く予測もできない国境紛争へと発展しかねない危険因子も持っている。
 
日中両国政府は今回の問題、混乱に対し、如何なる解決策を持っているのか。日本政府はただ単に静観する、と言い続けるのではなく、具体的な解決策を示さなくてはならない。即ちこの島の帰属と将来の位置づけである。
 
そこで思い出されるのは1960年代、台湾ー中共間に激しい戦闘の行われた金門馬祖のその後の現状と今の姿である。金門馬祖は、中国大陸沖合の僅か10数キロの沖合にある二つの小島で、台湾からは海峡を隔てて数百キロも離れた場所にある。確か1948年蒋介石が大陸から台湾に亡命する際、この島に軍隊を配置し、台湾防衛の最前線とした島であったが、この島は両国にとって象徴的な島であった。
 
即ち、台湾側からすれば、大陸反攻への足掛かり、中共側からすれば、台湾解放(併合)への一里塚。大陸から目と鼻の先の目の前のたんこぶ。是非この島を分捕らなくてはならないし、台湾とすれば死守しなければならない島だった。
 
この島の攻防戦は数年間にわたり続けられ、数多の将兵が犠牲となったが、台湾側の後方に控えている米軍の無言の重しにより、中共軍も攻め入ることも出来ず、戦闘終結後も長い間にらめ会い状態が続いていたが、近年になって、台中間の経済交流が増し、経済、資本、文化、人物の往来が増すとともに、そうした交戦状態は凍結され、遂には軍事要塞化したこの島も観光客に開放されることになり、今では大陸からフェリーで1時間程度で来れるこの島には、毎年何万人と言う中国人観光客が押し寄せるような状況になっている。
 
こうした島の取り合いから戦争状態になり、一時凍結し、遂には氷解し、台中平和のシンボルになっているかのごときこの島の現状を見れば、今、日中間に懸案となっている尖閣問題も、必ずや解決の糸口がある。
 
台湾は政経を分離し、経済交流を盛んにすることにより、中共との切っても切れない関係を構築し、今現在台中間に尖閣同様の激しい問題が生じたとしても、その関係は崩れることはない。崩れることがあるとすれば、中共の台湾に対する直接攻撃だけであるが、この先、世界の情勢が大きく変化しない限り、そうした戦争は起こりえないだろう。
 
金門馬祖における台湾が果たした努力、中共への働きかけ、今の平和的関係。日本の政治家はそうした努力をしなければならないし、台湾当局者に教えを請わなければならない。日中当局者は尖閣周辺を再び戦争の海にしてはならないのだ。
 
一つのヒントとなるのは、中国政府、中国人は経済面、経済に敏感であり、表向き政治的なスローガンを上げていても、内実は利得の計算に長けていて、この島の利用価値、即ち漁業面での如何なる利得が得られるかに懸かっていて、この島の帰属問題は表向きのご命題としても、どの程度の実利が得られるかにかかっているのであって、日本政府はそうした認識の元、交渉に当たるべきと考える。
 
 
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