国内線は国際線と比べて高度の低い場所を飛行するので、眼下の景色もよく見える。特に今日のような冬晴れの日は空気中の湿気も少なく、透明度も増す。僅かな時間だったが、富士の芙蓉を堪能し、次に南アルプスの峻険な峰々が見え、大井川か天竜川か、その山裾を縫うように蛇行する大河と、その周辺の集落。この川沿いで、皆どんな生活を営んでいるんだろう。もう何百年もこの川との共棲を続けてきたに違いない、平和な感じの村落だった。
南アルプスは険しい山が多く、まだ一座も登頂していないが、西伊豆の実家からは駿河湾の向こうに、今日見るような幾つもに重なった雪を抱く峰々が望見でき、子供心にも畏敬の念を持って眺めていた。当時はこんな高い山に登る等思いもよらなかったが、後年、還暦間近になって、こうした3000m近くの山を踏破するようになるとは、自分自身でも全く想像していなかった。今年は既に古希、足腰も相当弱まり、今更南アに挑戦するなど到底できないが、こうして機上から眺め、南から光、聖、赤石、塩見、と山名を類推していくだけでも楽しいことだ。
雪を抱く南アを過ぎると、今度は広々とした平野が見えてくる。三河平野から濃尾平野にかけての名古屋地方の平原だ。険しい雪山の峰の連なりを見てきた目には優しく映る。この辺りは殆ど新幹線で通り過ぎるだけの地方で、実際に歩いた経験は数少ないが、随分昔の学生時代には豊川稲荷にお参りしたり、その先の蓬莱山、鳳来寺まで行ったこともあったが、それはもう遠い昔のことだ。それからもう10年ほど前になるか、お正月の伊勢参りをした帰り、鳥羽からフェリーに乗って伊勢湾を横切り、渥美半島、伊良子岬まで渡ったが、今眼下にその半島も見え、その半島の付け根の付近には渡辺崋山の田原藩もあり、更にその先には日吉丸の矢作川も見えてくる。
もう一つ先の半島の先端部には大きな滑走路が見えるが、セントレアに違いない。とするとこの半島は知多半島で、その直ぐ先には名古屋の市街地が見える筈だが、機は沖合を通過しているのか、名古屋を見ることはできず、そのまま紀伊半島の山中上空を飛行して行った。去年徳島へ行ったときも見たが、眼下の街並みは、高野山だろう。
南アルプスは険しい山が多く、まだ一座も登頂していないが、西伊豆の実家からは駿河湾の向こうに、今日見るような幾つもに重なった雪を抱く峰々が望見でき、子供心にも畏敬の念を持って眺めていた。当時はこんな高い山に登る等思いもよらなかったが、後年、還暦間近になって、こうした3000m近くの山を踏破するようになるとは、自分自身でも全く想像していなかった。今年は既に古希、足腰も相当弱まり、今更南アに挑戦するなど到底できないが、こうして機上から眺め、南から光、聖、赤石、塩見、と山名を類推していくだけでも楽しいことだ。
雪を抱く南アを過ぎると、今度は広々とした平野が見えてくる。三河平野から濃尾平野にかけての名古屋地方の平原だ。険しい雪山の峰の連なりを見てきた目には優しく映る。この辺りは殆ど新幹線で通り過ぎるだけの地方で、実際に歩いた経験は数少ないが、随分昔の学生時代には豊川稲荷にお参りしたり、その先の蓬莱山、鳳来寺まで行ったこともあったが、それはもう遠い昔のことだ。それからもう10年ほど前になるか、お正月の伊勢参りをした帰り、鳥羽からフェリーに乗って伊勢湾を横切り、渥美半島、伊良子岬まで渡ったが、今眼下にその半島も見え、その半島の付け根の付近には渡辺崋山の田原藩もあり、更にその先には日吉丸の矢作川も見えてくる。
もう一つ先の半島の先端部には大きな滑走路が見えるが、セントレアに違いない。とするとこの半島は知多半島で、その直ぐ先には名古屋の市街地が見える筈だが、機は沖合を通過しているのか、名古屋を見ることはできず、そのまま紀伊半島の山中上空を飛行して行った。去年徳島へ行ったときも見たが、眼下の街並みは、高野山だろう。
成程、長靴の恰好をしている。とすると、この先端部は伊良子岬か。
ああ、前方に空港が見える。セントレアだ。
伊勢湾の海外線は見えるが名古屋は見えずに通過する。この先の海岸線は伊勢志摩か・・。