ちゃおチャオブログ

日々の連続

薩摩・大隅の旅(34)朝霧の立つ薩摩路。

錫山峠から黎明の鹿児島を眺める。右の山が高千穂の峰、左の高い山が霧島山韓国岳)。
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峠の茶屋の前には一体の地蔵像が奉納されていて、当方の旅の安全を祈り、峠を下る。
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山を下り降りたところは、薩摩川辺牛で有名な旧川辺町。豊かな田園風景が広がっている。
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早朝の田園には朝霧が漂っている。
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ああ、川霧だ。
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昨日当方ブログへ名無しのキムチさんからザビエル公園に立つ3人の像のうちの一人、アンジロウ、乃至アジロウについてのコメントがあり、このアジロウなる者は日本人なのか、の質問を受けたので、多少詳しく説明をしておく。アジロウは勿論日本人であり、薩摩人である。大概の日本人は神父ザビエルについては知っているが、その従者アジロウ及びベルナルドについては、逆に殆どの日本人はその名前すら知らない。知っている人はごく一部の敬虔なカトリック信者位だろう。

フランシスコ・ザビエルが盟友イグナチオ・ロヨラとパリにイエズス会を創設し、ロヨラが本部を守り、ザビエルが遠く東方アジアへの布教の旅に出た。ザビエルがこのアジロウと最初に出会ったのがインドのゴアかマレーシアのマラッカだったのか当方定かには知らないが、それまでザビエルが教えてきたアフリカ、インド、アジア各国の青少年の中に於いて、このアジロウは飛びぬけて出来が良く、当初ザビエルは中国布教を考えていたのだが、中国人のレベルが低いのが分かり、中国から日本へ向かうことを考えた。それはアジロウという優秀な導き人がいて、アジロウから聞かされた日本の素晴らしさに憧れを持ったのかも知れない。尚、ロヨラに関しては昭和の初め四谷に上智大学が設立されたが、この大学はイエズス会によるものであり、その構内にはロヨラを記念してイグナチオ教会が建てられている。

こうしてザビエルはしばしばパリ本部のロヨラに日本の良さ、布教の進捗等を伝え、豊後大分、長門山口、等々に信者を広げて行ったが、日本での一定の実績を残し、且つ、薩摩の足軽ベルナルドまでもが洗礼を受けて旧来の日本名から洗礼名を名乗るようになり、日本における布教は後任に託し、再び中国布教を目指し、アジロウのみを引き連れてマカオ(当時の上川島)へ渡った。そこで運悪く病を得て病没するのだが、アジロウは薩摩に戻ることもせず、そのままマカオ、マラッカ、ゴアと、当時のポルトガル領、そこにはイエズス会セミナリヨもあって、余生はそこで過ごし、ゴアで亡くなったとのことである。

アジロウとは誰か、から始まって、少し長い話になってしまったが、この頃も、それ以前からも、アジアに於いて日本人は飛びぬけて優秀なことが証明されている。彼が一介の漁師であったことを考えれば、猶更で、昨日キムチさんから幕末のジョン万次郎についても触れられていたが、彼も土佐の漁師だったことを考えると、アジアに於ける日本人の立ち位置が分かるような気がした。

さて今いる錫山、南さつま市に抜ける国道谷山街道の峠道は、眼下の鹿児島湾上、桜島に今しも朝の太陽が昇る直前の黎明である。目を左に移すと、昨日参詣した霧島宮の後ろに控える高千穂穂の峰、更にその左、ひと際高く聳える山は九州で一番高い山、韓国岳、即ち霧島山で、この山からは朝鮮半島を見ることが出来る、とのことでこうした半島の名前が付けられているが、嘗て自分がこの山に登った時は、そんな遠くの、洋上すらも見えなかった。

峠には、峠の茶屋、重吉そばの看板が出ているが、朝早く店はまだ開いていない。本当はこの峠の茶屋で眼下に昇る朝日を受けて、朝食でも食べられたら最高なのだが、如何せん、時間がまだ早すぎる。茶店の前には大型トラックが何台も止まれるような広い駐車場もあって、日中の賑わいも想像されるが、その駐車場の前、茶屋の並びには一体の地蔵菩薩が安置されている。交通の安全を願って、この茶店の主人が奉納したものだろう。当方も、これからのドライブの安全を願って、峠を下り、南さつまに向かう。

山を越えた辺りは、本当の山村風景で、鹿児島市内から僅か1時間も来ていないこんな場所で、豊かな田園、里山の生活が送れるのは何とも羨ましい限りだが、この辺りは町村合併し、南九州市になる以前は川辺町と言って、薩摩川辺牛で有名なところだ。牛の姿は見えないが国道の両側には牧場が点在していて、如何にもその土地らしい。峠からの下り坂を下りてきて放牧地を過ぎ、集落に近づいてくると、何川なのか、川面に朝霧が立ち込めている。もうこの辺りは海にも近いので、海の湿気と、盆地の湿気が合わさって川霧を作っているのか・・。幻想的な光景だ。以前広島の三次に行ったこともあったが、時期が悪かったのか、こんな幻想的な霧にはお目に掛からなかった。暫し車を止めて、霧の幻想に見とれた。



丁度これから朝日も上がって来る。
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何と幻想的な光景だろう・・
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ああ、川鳥も浮かんでいる。マガモか・・
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朝早い時間、全く偶然にも朝霧を見ることができた。
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記念に写真を何枚か撮影し、枕崎に向かう。
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