「ンブフルの丘」からは次に「なごみの塔」に向かう。
時々道路を横断する観光客を見るが、住民の姿は全く見かけない。
浜から石を運び、無造作に積み上げてあるようだが、隙間は接着され、台風の強風にも耐えられる。
石垣は離島から始まり、石垣島に広まり、その島が石垣島と呼ばれるようになった。
ツーリストインフォメーションセンター「ゆがふ館」を出た時は雨は上がっていたが、南方の島ゆえ天候は猫の目だ。時々細かく降って来たりして、ままならない。当方この程度の小雨ならむしろ気持ちよく感じたが、Inaさんの場合は大事な高級スマホを濡らすのが心配で、後からタクシーでやってきた。島内を巡回して走る乗り合いタクシーで、フェリーの到着時刻に合わせての、凡そ30分置きの巡回で、足の無い人に取っては便利なものだ。タクシーの経路はこの仲筋に入る手前を右に曲がって、「なごみの塔」の方向に向かい、いろいろ途中で乗客を降ろしたり、拾ったりして最終的には、この「ンブフルの丘」から更に先の星野リゾートまで運行されている。
Inaさんとはここンブフルの丘で待ち合わせ、ここからなごみの塔に向かう。今は雨も上がって、ちらほら道路を歩く観光客の姿も見える。が、島民が歩いている姿は見えない。各家の敷地も大きく、テレビ音も赤ちゃんの泣き声も、子供の遊び声も聞こえず、何か映画のセットのような、無人の街並みの雰囲気である。これ程静かだと、ちょっとした夫婦喧嘩もできないか・・。
この「ンブフル」の反対方向には星野リゾートがあり、時間があればちょっと外観でも見てみたいとも思ったが、又、いつ雨になるかも知れず、今回は止めておいた。所詮自分には縁のないホテルだろう。この星野リゾートは12年前には出来てなかったが、いろいろ紆余曲折の結果、島民の反対を押し切ってこの島にリゾートホテルを作った。川平湾のホテルメッドの向こうを張る形で、この島に進出したが、星野社長の経営能力が高いのか、営業は良好で、この島にも多くの利益を齎しているに違いない。2か月前、西表島に行ったが、そこにも星野リゾートがあり、島は別々でも同じ竹富町内、西表島の人々も竹富島の成功例を知り、進出に反対はしなかっただろう。気を良くした星野さん、他の離島への進出も計画していたが、今度のコロナ禍で、一旦は立ち消えになっているようだ。
まあ、自分とは生涯関係ないであろう星野リゾートの事を考えても詮方ない。これから向かう「なごみの塔」。前方に塔が見えてきた。自分は過去2回この島に渡ったが、何故か、ここには来たことは無かった。初めての場所だ。この島にこんな展望台があることを知らなかったのか、或いは「ンブフルの丘」にある展望台で島全体を眺めたので、ここまでやってくる必要はないと思ったのかも知れない。自分自身そうした細部の状況は記憶の中から消えてしまっている。塔の周辺はちょっとした公園風に整備され、ここはこの島のランドマークに違いない。今まで以上に多くの観光客が塔の周囲に集まっていた。さあ、自分も塔に登って島を眺めよう。
電柱も側溝もコンクリブロックもない自然を大切にしている島人。
ああ、「なごみの塔」にやってきた。初めて見る塔だ。
塔の周辺は綺麗に整備されている。
珍しい岩石だ。石には見とれないで、さあ、登ってみよう。