ちゃおチャオブログ

日々の連続

6.6(日・曇雨)菅総理に贈る梅原猛からの言葉。

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2週間前、緑センターにあるワクチン接種会場へ1時間も早く出向き、待ち時間にセンター内にある図書館に寄り、本を2冊借りてきた。内田康夫の「鏡の女」と梅原猛の「老耄と哲学」。梅原は一昨年94歳で亡くなったが、この本は10年ほど前、彼が84歳の頃東京新聞中日新聞に4年間にわたって掲載された自身の事、時事問題等々の読み切り記事だ。1回ごとの区切りになっているから読みやすい。10年前とは言え、政治の世界は今と殆ど変わっていない。違うことは当時は民主党、野田政権だったこと位だ。その野田に関し、1節を設け、彼自身が「どじょう総理」と自認している点を捉え、「どじょう」は庶民受けするかも知れないが、総理としてはそれだけではダメだ。中曽根のように、「鯉」を目指さなければダメだ、と評価を下げている。野田は「自分はドジョウで、金魚の真似は出来ない」との言葉を捉え、金魚とは、金ぴかの2世3世総理を差していて、安倍、麻生、福田、鳩山などを金魚総理と指している。

梅原は首相は1億2800万人の大国日本を引っ張るには3つの能力を持たねばならないとして、

1.世界の情勢に明るいこと。政治・経済の動きについてよく知っているばかりか、文明の動向についても明確な認識を持ち、文化・芸術にもある程度の知識を持たねばならない。

2.日本の課題についてはっきり認識を持つこと。首相は現在の日本に於いて最も重要な外交及び内政の問題をはっきり認識し、力を尽くしてその課題に取り組まねばならない。

3.巧みな政略家であること。政治の世界は権謀術数が渦巻く世界であることは否定できない。首相は人材を巧みに使い、策を弄してでも目的を達成しなければならい。

と定義づけ、それに成功した首相として中曽根を上げている。ちなみに彼は鯉の句が多く、正に野田は泥鰌から鯉に成長することを目指すべきだ、としている。

ちなみに小沢はピラニアで、肉食魚の「コロシヤ」で、獰猛で、多くの同士の政治生命を奪ってきた。小沢に取って理念は変わるべきもので、その時の選挙に勝てる理念こそ最良としている。消費増税反対や脱原発は選挙目当ての理念である、と断じている。

 

彼はこの中で、権力欲、名誉欲、金銭欲の特別強い人間が政治家になり、彼等は口では国家のため、国民のためといいつつも、私欲の為に彼等にとっては命がけの権力闘争を繰り広げている。

ラニアのような政治家小沢には確固たる人生観が存在していると思われる。人間の求めるものは所詮権力と金銭であり、そして権力と金銭を分配された人間は必ずそれを与える人間に従順に従うと考える哲学である。そしてそのような哲学にマキャベリの思想が加わる。それは、権力者は愛されるよりも恐れられるべきで、愛される権力者に背いても罰せられないが、恐れられる権力者に背けば必ず罰が与えられ、反逆することは困難である、としている。これは10年前の小沢の立ち位置を抉り出しているが、この状況は今の政治家にも通用する。特に現総理がマキャヴェリズムの信奉者と伝えられているが、もしも10年前に梅原が指摘したような状況が、現政権、前政権に通暁しているとすれば、問題は深刻だ。10年前に梅原は野田に中曽根を見習うべきだ、と強く指摘したが、もしも彼が今も生きていれば、菅総理に同様のことを進言するだろう。

一昨日のブログに、現総理が前総理の元へペコペコ犬が尻尾を振って、媚びるがごとき振る舞いは、一国の宰相として全く相応しくない、と指摘したが、よくよく考えて行動すべきである。歴代総理の指南役、安岡正篤が亡くなって久しいが、もし彼が生きていれば、梅原と同様のことを指南しただろう。G7サミット、総理は日本の文化、文明、歴史的歩み、現在の立ち位置、等々、しっかり発言し、印象付けてもらいたい。

 

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