出発時刻の2時間も前に伊丹空港に着いた。
向こうに見える山並は能勢の観音か・・。
空港に夜の帳が下りて来た。間もなく離陸だ。
飛行ルートは大阪市街地を避け、京都の南を飛んで名古屋方向に向かう。
中山観音寺から阪急電車で蛍池まで戻り、ロッカーからリュックを取り出し、伊丹空港に着いたのは出発の2時間程前。時間が余り過ぎる程余っているが、歩行に困難を来たしている身としては、あちこち動き回ることもできず、空港でぼんやり時間を過ごすのもやむを得ないことだ。
小型のキャスター付き旅行カバンは持ってはいたが、2泊程度の旅行ではもう少し小さめのキャリーバッグの方が都合が良い。検査場を入った先のショップコーナーに旅行カバン専門の店があり、軽めの小型キャリーバッグがあり、その場で買って、リュックの中の荷物を移し替える。然したる重量はないとはいえ、背中に背負って運ぶよりは、コロコロとキャリーで押したり引いたりした方が余程か楽だ。それに取っ手は杖代わりにもなる。
出発は7時半、中途半端な時間だ。キオスクで摘まみを買って、飛行場の見える4階ラウンジに行って、夜の空港を眺める。飛行時間は1時間、羽田に着いてから食事を摂ろう。最近は何かそのパターンになっている。飛行場の先に山並が見える。今日行ったばかりの中山観音寺の辺りの山か・・。それとも3日前の初日に行った勝尾寺辺りの箕面の山並か・・。いや、方向的には池田の先の能勢の妙見か・・。大阪は平野ばかりの大都会と思っていたが、案外周囲を程よい高さの山に囲まれている。
出発の時間がやって来て、搭乗口に向かう。空港も既に夜の帳が下りている。着陸する飛行機のライト、客室の窓が明るく丸く、これから滑走路に向かう飛行機。伊丹も羽田ほどではないが、賑やかな空港だ。華がある。機は離陸した。30数年前、初めて伊丹に降り立った時は、大阪上空をすれすれに飛んで、大都会の大パノラマを見ることができたが、最近は市街地を避けて、北側のルートを飛んで伊勢湾に向かう。街の灯は以前ほどは感動的ではないが、旅の終わりに感じる愁傷。今回も事故も無くケガも無く、無事に巡礼を終えることができた。昨夜は大阪で稲さんと沖縄焼酎も飲み交わすことができた。良い巡礼旅だった。
(終)
大都会の大パノラマを見ることはできなかった。
正味40分の飛行時間では映画も見ることもできない。
もう神奈川沖か千葉沖だ。
今回も又良い巡礼の旅ができた。