ちゃおチャオブログ

日々の連続

6.12(日・晴れ)西村賢太、苦役列車を読む。七尾の作家藤澤清造の没後弟子。



 

久し振りに小説を読んだ。朝から苦役列車を読む。西村自身の私小説で、中卒の彼が冷凍倉庫の積み出しの日当で、歳を取って行く様を書く。石原が彼を絶賛し、その石原を追いかけるように、石原の死後間も無く54歳で死んだ。苦役列車、あてどもなく走り続ける苦役の列車。そうして老いてく。

2部作の後半は、堀木克三の言う評論家を主題にした、「落ちぶれて袖に涙が降りかかる時、人の心の奥ぞ知る」であり、戦前の一時期、文壇に持てはやされた堀木は、その後低落し、70過ぎても中野のアパートで侘しい一人住まい。西村は、長生きしていれば、彼と同じような侘しい老後を重ね合わせて空想していたが、54歳でタクシーに乗車中急死し、結果的にそうはならなかった。

一人の人間の生き方、強烈な個性で、人生の最下層を這いずって生きてきた。社会の見えない部分で、こうした肉体労働者がいて、そうして、社会は彼等によって、支えられている。

結局、今日は西国観音霊場は読めなかった。明日はしっかり目を通し、巡礼ルートを決めないと・・。