第三十九番延光寺に参拝する。
昔風の石垣が組まれたお寺だ。
山門に薬師如来と赤亀山の額が掛かっている。
四国霊場三十九番札所。
第三十九番札所延光寺は高知県の最西端、宿毛にある。宿毛は以前から連合艦隊の投錨地であり、戦艦大和が沖縄に向け出撃した時の国内最後の寄港地となった。以前、宇和島まで来た時、是非行ってみたいと思っていたが、行き方が分からず、結局予土線に乗って、中村まで出てしまった。いずれ何時かは宿毛の港へ行って、大和3000有余名の将兵の霊を弔ってやりたいと思っている。
ここ延光寺は港からは随分離れた里の中にあり、駐車場からお寺までの数百mの道路は、本当にお遍路道のような長閑さで、落ち着いた日本家屋の広い庭先には、夏の花が奇麗に咲いている。歩き遍路の人々も、こうした庭先の草花を眺め、疲れを癒されたことだろう。
今は廃道になっているような昔の遍路道が夏草に覆われ、林の向こうに消えている。車の無かった戦前から江戸時代、あぜ道のような、人が二人して並んで歩けないような細い一本道、人口希薄なこの辺りを歩くのは実に心細かったことだろう。金剛福寺を中にして、岩本寺からここまでの行程は一番長く、人里離れていて、正に修行の道場の中でも、最後の修業の場だったに違いない。
今は便利になってバスで各寺を回り、駐車場からここまでは僅か300mを歩くほどだが、このお寺までに並んでいる数軒の民家は、江戸時代の昔から、ここにこうしてあったのだろう。庭先の手入れされた花壇は、その頃から代々嫁に引き継がれてきたものに違いない。
古びた山門を潜り、お寺に入る。山門には薬師如来赤亀山の額がかかっている。この寺の御本尊は薬師様で、ここも又聖武天皇の勅願により行基が開創したとの寺伝である。それは神亀年間のことで、その時行基は薬師如来を彫ったと伝えられている。山号の赤亀山は、それよりも大分時代が下がった平安時代の延喜年間、池で飼っていた亀がいなくなって、後、小さな梵鐘を背負って竜宮城から戻ったとの言い伝えから来ているとのこと。本堂、大師堂にそれぞれお参りする。
正面が本堂だ。
医王殿。ご本尊は薬師如来だ。
大師堂。
皆で大師堂にお参りする。