竹富公民館の前には西塘御嶽という廟所がある。
お参り方々、少し覗いてみよう。・・ああ、「沐恩」の扁額が掛かっている。
近くの石垣は石灰岩だ。
嘗ては海の底にあったものが隆起した。
石垣でしか見られない珍しい岩石だ。
この島に御嶽が幾つあるかは知らない。案内図をみても10カ所以上はあるだろう。人口僅か200数十人の島で、これ程多くの御嶽を維持し、宗教、文化、伝統を守っていくのは大変な努力がいることだろう。このタクシーバスの停留所の前にある西塘御嶽にしても綺麗に整備され、ここを守る島人が毎日のように清掃に来ているに違いない。敷地にも堂宇の中にも落ち葉や、吹き込んできたゴミなどは見当たらない。
社とかお寺、霊廟などあると習慣的に両手を合わせ、頭を下げるのだが、この御嶽の霊が何かも知らず、どんなご利益があるのかも知らず、習慣的にお参りする。余得は自分に返って来るであろうし、島の平安にはなるだろう。神々も無視され、攻撃され、破却されるよりは、見ず知らずの人であっても、お参りされるほうが気分が良いに違いない。神か仏か、誰かも知らないが、奥座を見ると「沐恩」の扁額が掛かっていた。恩を浴する。恩寵を受け取る。この島に住んでいることは、正しく天の恩寵かも知れない。
程なくタクシーがやってきて港へ向かう。同乗者は他に4人。星野リゾート辺りから乗って来た客かも知れない。県外の旅行は自粛要請されていても、禁止ではないから、自粛に従わない人もいるのだろう。タクシーに乗る前後から再び雨足が強くなり、フェリーターミナルに着いた時はかなりの雨。石垣からやって来るフェリーが、乗客を降ろした後、我々を乗せて石垣へとんぼ返りするのだが、乗って来た人も20-30人程、これから石垣へ戻る乗客も20-30人程。細々ではあるが生業は立っているようだ。雨が降っても、槍が降っても、やって来る人はいるものだ。
竹富を出て10分、もう何回目かになる石垣港に入港する。フェリーが減速すると、右手に勝鬨橋のようなアーチ橋が見え、間も無く着岸だ。竹富では食堂はどこも閉まっていて、本島に戻ってからの昼食だ。前回のサシミ屋、南洋マグロの刺し身定食もよいが、Inaさんが安くて美味しいステーキ屋を知っているとのこと。そこへ行くことに決めた。石垣牛だ。
竹富港にやってきた。遠くに石垣の島影が見える。
石垣港からフェリーがやってきた。竹富ともいよいよお別れだ。
星野リゾート他、ホテルや民宿の迎えの車がフェリーの到着を待っている。
さて、これから乗船だ。名残惜しい竹富。・・もう少し時間があったら、前回同様に、波打ち際をぐるっと回ったのに・・。
1時過ぎ、石垣港に到着した。3時間の竹富巡りは終了した。