市役所から先の巡礼道を歩いて行くと、大勢の巡礼者が西に向かって、黙々と歩いて行く。
今日が第一日目、皆さん、足取りも軽やかだ。
前方に公園が見えてきた。
10年前、自分の友人3人も、この巡礼道を歩いてきたのか・・。
ああ、これは又お揃いのウエアで、巡礼者ではなさそうだ。アメリカ人の観光客か・・
10年ほど前、自分の友人の里さん、荻さん、山さんの3人はスペイン巡礼道を歩くためこの町にやってきた。その時自分もこの巡礼に誘われたのだが、時間的都合が付かず参加を見合わせ、彼等3人だけで行くことになった。敢えて通常の観光ルートから外れたこの町にやってきたのは、一つにはその時の思いもあり、彼等が歩き、目にした風景を10年経った今、自分の目でも見てみたいと言う思いもあった。それとヘミングウェイとフランシスコ・ザビエル。今回の旅行、この町はリスボン同様、自分に取っては特別な町だった。
今その彼等が歩いたであろう巡礼道を歩いている。ヨーロッパ的な狭い道路の商店街だ。この商店街も両側の小売店も巡礼道も10年前も今も変わっていないだろう。いや、数百年間、同じような佇まいかも知れない。このシェルマークの道を800キロ、ずっと歩き続けて行けば、満願叶ってサンチャゴ大聖堂に至るのだ。800キロ、それは東京から広島よりも先、山口辺りになるのか・・。一体どれ位の日数になるのだろう。巡礼者の一人に聞いてみたら、35日、と答えていた。約1か月、この町をスタートした巡礼者は、黙々と歩き続け、野原を横切り、川を渡り、或いは教会に泊まり、約1か月を掛けて巡礼行を行うのだ。
そうした10年前の3人のことを考えながら、市役所から凡そ500-600m、巡礼道を歩いて進むと、前方に深い木立が見える。大きな樹木が林立している自然公園だ。自分の住んでいる多摩地方には嘗ての武蔵野の面影を残す雑木林の公園等、所々そうした自然公園があるが、ここパンプローナでも同じようにピレネーの山懐の自然を公園として残しているのかも知れない。その自然公園の前を何人もの巡礼者が通り過ぎていく。今日が第一目の第一歩。これから1か月、こうした自然の野山を巡礼して行くのだ。
ああ、沢山の巡礼者が目の前を通り過ぎていく。
しかしここは森のような深い公園だ。
樹齢数百年もあるような巨木も自生している。
森の中で話し込む巡礼者。道に迷ったのか??
公園の奥に何か記念碑もあるようだ。