ちゃおチャオブログ

日々の連続

紀の国訪問記(57)熊野三山速玉大社。

  • 速玉大社の中門を出る。

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    • 中門の前には天然記念物のナギの木が巨体を見せている。平重盛お手植えの木だ。

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境内は樹木が生い茂り、緑も深い。摂社も多い。

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  • 宝物館、熊野神宝館には1000点を越える国宝、重文が収納されている。

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右手が宝物館、左手がナギの木。宝物館の前には弁慶像が立っている。

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熊野三山は昨日参拝した熊野那智大社、それから今参拝している熊野速玉大社、それとこれから向かう熊野本宮大社の三所を指し、平安時代、歴代の上皇が競って参拝に訪れたことから、この三所には何らかの霊験があるものと信じられてきた。その様子は蟻の熊野詣とも言われるほどに人気も高く、今から1000年以上の前に日本では既にこうしたツーリズムが出来ていた。それ以前から行われていた四国八十八所お遍路は、個人の宗教心による単発的なものであり、ツーリズムと言えるものかどうか自分には判断が付かないが、日本人のこうした中世からの旅好きは、江戸時代の伊勢神宮参拝、お蔭参りの伊勢講で最高潮に達した。中世ヨーロッパで行われるようになったサンチャゴ巡礼の旅の数百年も前の出来事である。これは大いに世界に誇るべきことである。

この新宮の地名は実にここに速玉大社が創建されたことにあり、元々この大社は山の際の神倉神社にご神体が祀られていたものが、景行天皇の時代にこの場所に遷座し、この場所が神倉に対し、新宮と呼ばれたことに由来する。熊野三山の中で、一番新しい宮だから新宮と呼ばれた訳でなく、この三山、熊野三所は皆対等だ。どちらが上とか下とかはない。ここに祀られている主祭神伊弉諾伊弉冉だ。日本国造りの祖神である。

紀伊の国の名前についてその由来は自分には分からないが、この紀伊の紀は、基本の基に通じているものではないかと自分は思っている。紀の国、即ち基の国。それは九州高千穂の地から神武の東征が始まり、この地に上陸し、山を越え、新たな国、大和まほろばを創いた基の地、に由来しているものと考える。紀伊の伊は単に紀とするよりは、伊を継ぎ足しすることにより、言葉の音調を整える、と言われているが、自分はそれには賛成できない。伊豆の地名の由来は分からないが、伊豆半島の先端の小島には三島大社の古社があった。神代の時代、伊豆の伊には何らかの意味があったものと思う。更にその先の房総半島の根元部分には香取、鹿島の二つの神宮がある。昔は常陸が大和の最北の辺境だった。その地に二つの神宮が存在する理由も、自分にはよく分からない。九州の地から北上した大和民族は大和まほろばに国を造り、更に北上し、伊豆を中継地として更に最北の地が常陸だったのか・・。和歌山市内にも神宮が二つあることは、気になることではある。

拝殿に参拝し、その境内に幾つかの摂社が並んで建っていたが、その一々に参拝する時間も無く、中門の前で境内の落ち葉を掃除していた神職にお願いして写真をとってもらい、宮を後にする。その中門の前に大きな巨木があり、これは天然記念物の熊野ナギだ。ナギは梛と書き槙の種目だが、樹齢1000年を越える古木はこの宮の御神木となっている。那智大社の大楠と同じだ。ナギは海の凪に通じ、航海の安全、旅の安全のお守りとして古来より参詣者に求められていた。これも又丁度サンチャゴ巡礼の旅のシンボル、貝殻シェルの二枚貝と同じような位置づけだ。今眼前にあるナギの木は今から1000年程前、平重盛が社殿造営の際の記念植樹で、平家は滅んで久しいが、宮も御神木も、世の移り変わりを越えて今に存在している。上皇法皇の熊野詣はもう既に遠い過去の歴史イベントになってしまった。

先刻入った大鳥居の出口に向かって進んで行くと、左手に宝物館がある。この中には数々の国宝、重文が収納されているが、このコロナ禍で博物館、美術館はどこも閉館中だ。宝物館の前に弁慶の像が立っていたが、武蔵坊弁慶紀伊田辺の生まれで、熊野別当の僧兵だが、昨日田辺駅に降り立った時、駅前に大きな銅像が建っていた。更に大鳥居近くには八咫烏神社もあったが、八咫烏はこの熊野三社の神鳥だ。境内には又佐藤春夫の自宅も移築されて残っていたが、自分には余り縁のない作家、そのまま元のバス停に向かった。

 

宝物館、熊野神宝館には1000点を越える国宝、重文が収納されている。

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大鳥居の内側には、左手に手力男神社、右手に八咫烏神社が建っている。

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サッカー、サムライJのシンボル、八咫烏を祀っている。

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大鳥居を後にして、新宮駅に向かう。

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